2014 Fiscal Year Research-status Report
メカノケミカル砥粒砥石を用いた次世代研磨による高硬度基板材料の高能率超平滑加工
Project/Area Number |
26420065
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山口 智実 関西大学, システム理工学部, 教授 (10268310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古城 直道 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80511716)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超平滑加工 / 超仕上げ / 超砥粒砥石 / ダイヤモンド砥粒 / サファイア / メカノケミカル / シリコン / 複合砥粒砥石 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.サファイアに対するMC/MC複合砥粒砥石の超仕上では,加工が進むにつれて砥石の目つぶれが起こるとともに,サファイア表面の山部が平坦化されることで真実接触圧力が減少することにより,加工時間を延ばしても表面谷部が除去されず,表面粗さの改善が見込めないことが明らかになっていた.そこで,本研究では,MC/MC複合砥粒砥石工程の前にダイヤモンド(SD)超砥粒砥石による超仕上を挿入することで,粗さの山谷がほぼ均等に存在する表面を形成し,それをMC/MC複合砥粒砥石で超仕上することにより,より効果的に平滑面を得ることを考えた.そこで,できるだけ小さな山谷がほぼ均等に存在する表面粗さを得るため,#2000, #4000, #6000, #20000のSD超砥粒砥石を用いた多段超仕上工程を求めた.その結果,10分未満の超仕上げで粗さ2nmRa以下の平滑面を達成することができた. 2.シリコン基板の超平滑化のためのMC砥粒として硫酸バリウム(BaSO4)よりもシリコンの酸化作用の高い酸化銅II(CuO)を新たなMC砥粒として砥石を開発し,その加工特性を調べた結果,CuO砥粒が柔らかく変形し易いため,シリコンとの接触時に化学反応を起こすに十分な接触温度が上がらず,BaSO4ほどの効果は得られないことが明らかになっていた.そこで,本研究では,CuO砥石の結合度,組織などを変更することでシリコンの超仕上げ性能の向上化を図った.その結果,BaSO4砥粒砥石とほぼ同程度の性能を得ることができた. 3.MC/MC複合砥粒砥石によるガラスの超仕上げ時に発生するSubsurface damageについて,その深さを測定するため,超仕上げ量を測る方法を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.サファイアに対するMC/MC複合砥粒砥石の超仕上げでは,ポリシングの前加工として粗さ2nmRa以下の平滑面を目的としていたが,今回のSD超砥粒砥石を用いた多段超仕上げだけでその目標値を達成した.すなわち,この加工面からMC砥粒砥石の超仕上げを行えば,短時間でポリシング並みの平滑面を実現することも考えられることから,予想以上の成果が得られたと考える. 2.シリコンに対するCuO砥石の超仕上げにおいて,BaSO4砥粒砥石とほぼ同程度の超仕上げ性能を得ることはできたものの,砥石の作製上の困難から,砥石の5因子のうち結合度と組織を変えた1種類の砥石しか作ることができなかったことが,当初の進行予定から遅れた点である. 3.ガラスという脆性材料の脆さと中途半端な加工除去量のため,超仕上げ量を測定する方法に対しほぼ手付かずであった本課題において,除去量評価用マークを追加して行くというシンプルな方法を確立することで,ほぼ正確に除去量を測ることが可能となり,それにともないどのガラス材においてもSubsurface damageの深さを求めることができるようになった,という点で当初の目標をほぼ達成することができたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
1.サファイアに対するMC/MC複合砥粒砥石の超仕上げでは,粗さ2nmRa以下の平滑面を達成したSD超砥粒砥石を用いた多段超仕上げ工程の確立を目指す.すなわち,本工程を繰り返した場合の加工面粗さのばらつきを調査する.また,それに加えて,多段超仕上げ工程で得られた加工面に対しMC砥粒砥石の超仕上げを適用し,得られた平滑面とポリシングで得られる平滑面との比較を行う. 2.シリコンに対するCuO砥石の超仕上げにおいて,あと2,3種類の砥石の5因子を変更したCuO砥石を作製し,その超仕上げ性能を実験から明らかにする.このとき,結合度と組織の変更が主にはなるが,本年度まで無理とされていた粒度の変更に対して,その可能性について検討することにする. 3.ガラスに対するSubsurface damageの深さの測定方法の確立にともない,各種ガラスに対してMC/MC複合砥粒砥石の超仕上げ実験を行い,特に,Subsurface damageの深さや大きさなどのスケールおよびその分布状態などについて明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
実験に用いた工具類の購入,あるいは補修にかかる費用について,予算段階での金額との差が生じたことで計1万円余りの余剰金が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究で用いる主たる加工様式は超仕上げであり,それを実現する加工機である超仕上盤は,すでに用意されており,加工面や砥石作業面を観察・測定するための粗さ計,SEM,レーザ顕微鏡などの基本的測定装置もすでにある.したがって,次年度の予算の用途としては,ガラス.シリコン,サファイアなどの加工実験に使用する被削材,および,同じく加工実験に工具として使用する各種砥粒/砥石の購入費が主となる.また,特にsubsurface damageの計測・観察に関連しての表面処理等の処理費や手元に無い計測装置の使用費用がそれに加わる予定である. 余剰金は,その金額の程度から,主として実験に関わる費用(工具費,測定器付属部品費等)への補填,あるいは,文献調査費・図書費として使用する計画である.
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