2015 Fiscal Year Research-status Report
レーザによる急加熱部近傍で発生する引張応力を利用した脆性材料の新しい除去加工技術
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26420067
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 英俊 佐世保工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40332100)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザ加工 / 脆性材料 / 応力拡大係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,き裂先端位置,及び先端形状の観察実験を行った.まず,側面方向から通常の動画撮影を行ったが,き裂先端は,熱源よりも6mm程度後方であった.この結果は,熱源付近を開口位置としていた解析結果と異なる結果であった.そのため,き裂先端位置について再度,幅方向も含めた応力拡大係数の算出を行い,き裂先端位置について,き裂幅方向も考慮して再度考察した.その結果,熱源中心付近では,熱源直下付近で開口条件を満たすが,端部については,熱源直下付近では,圧縮応力場となるため,き裂は開口できず,冷却時に,内部の圧縮応力場の影響で開口できる条件となることが判明した.これらを実験による観察で確認するために,再度観察実験を行うことにした.特に,開口量が極微小なき裂は,通常観察では確認できないことが多いため,光弾性法や直交ニコル法,セナルモン法によって,観察実験を行うことにした.そのため,側面側と底面側から観察できるよう光学系の再設計と製作を行った.最終的には,溝加工中を裏面からセナルモン法によって観察した際,熱源付近を先端とするき裂と思われる映像の撮影に成功した.今後は,この再現性を確認するため追加実験を行い,詳細な先端形状についてさらなる検証を行う. また,初期き裂を導入するために必要な最適形状について,FEMによる解析を行った.3次元熱弾性解析を行い,き裂長さazとき裂幅ax毎に応力拡大係数KIを算出し,最低限必要な初期き裂長さを提示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたき裂先端位置の観察は,予想よりも難しく難航したが,当該年度の最後に熱源付近をき裂先端とする映像の撮影に成功した.また,この結果は理論的に示していたメカニズムを証明することに大きく前進した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の目標であったき裂先端位置の観察に成功したが,まだ2つしか撮影できていない.そのため,まず同様に実験を行い,再現性について,確認する必要がある.また,スライシング加工中については,まだ撮影できていないため,スライシング加工中を底面側から撮影できるよう研磨されたガラスを用意済みであるので,同様の実験を行い,き裂の先端位置についてさらに観察実験を行う. また,適切な初期き裂形状について理論的に提示できたので,現在,共同研究先企業に加工を依頼中である.今後は,加工された数種類の初期き裂を持つガラスを加工実験し,理論解析と比較することで,メカニズムのさらなる解明につなげる予定である.
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Causes of Carryover |
ガラス試験片を当研究費で購入予定であったが,共同研究先企業と実験条件をそろえるために,企業より同じガラスの提供を受けた.そのため,差異が生じた.また,残額で必要なCO2レーザ用光学部品をの購入を考えたが,残額が3万円程度で金額的に不足しており,次年度に合算して購入する方が効率的であると判断した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
セナルモン法による観察実験装置を再構築するための光学部品を購入の際に,次年度予算と合算して購入する予定である.
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Research Products
(3 results)