2015 Fiscal Year Research-status Report
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26420081
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
今戸 啓二 大分大学, 工学部, 教授 (80160050)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 接触螺旋 / 素線断面 / 接線ベクトル / 主法線ベクトル / 近似楕円 / 回転マトリクス / ワイヤロ-プ |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイヤロ-プの内部摩擦特性を調べるための最も基本となる接触線のベクトル方程式を求めた.素線の中心線は螺旋で表せるが,螺旋状に巻かれた素線同士の接触線の方程式は,明らかにされていない.通常断面形状が最も簡単な円になる素線の中心線と直交する切断面同士の接触問題として考え,素線同士の接触点は,素線を中心とした2つの円の交点が重根になることであるが,実際には高次連立方程式となるため実用的な閉じた解は得られない.そこでワイヤロ-プの軸に垂直な切断面で考察しようとすると,丁度コイルばねの切断面形状を求めることと同じで,これも結構難しい.そこでCostelloは,切断面を楕円近似することで単純化し,接触点を求めている.しかしながらより角度の増加とともに近似精度は低下する.Feyrerらは巧妙な方法で任意形状の素線の断面形状を求める式の導出に成功した.しかしながら式が複雑なため,解析的に接線を求めることが難しく,隣接する素線同士の接触点を求める式は明らかにしていない.本研究では簡単な楕円近似法を拡張することで,より角が大きくても精度低下の小さい断面形状を求める式を考案し,Feyrerらの解析式による計算結果と比較した結果,殆ど一致することを確認した. つぎに,螺旋である素線の中心線に付随した動標構と呼ばれる接線単位ベクトル,主法線単位ベクトル,培法線単位ベクトルが計算できる.主法線ベクトルの長さを素線半径ρにしたベクトルを接線単位ベクトルの周りに回転マトリクスを用いて回転させ,素線同士の接触点を通過するようにすれば,接触線のベクトル方程式を求めることができる.このように,動標構と回転マトリクスを利用することで,高次連立方程式による困難さを回避して接触点の方程式を求めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はワイヤロ-プの内部摩擦を理論的に考察する上で,最も基本となる素線同士の接触線の理論式を目的として研究を進めた結果,それを求めることができたのでほぼ順調に進んでいると判断した.素線の切断面形状を求める際に,近似楕円を拡張した手法も考案したこともおおむね順調に進展していると判断した理由の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
接触線方程式が明らかとなったので,ワイヤロ-プを捩じった際の接触線の変形と摩擦力の大きさとその方向について注意深く考察を進める.通常トライボロジ-の実験では,接触点の滑り方向と法線力あるいは摩擦力が明らかな場合が殆どであるが,ワイヤロ-プではその何れも明確ではない.そのことがワイヤロ-プの内部摩擦を考察する上での障害となっている.そこで接触線に対する動標構と呼ばれる接線ベクトル,主法線ベクトル,培法線ベクトルを求め,ワイヤロ-プを捩じった際の動標構の変化を調べることにする.即ち動標構の微分が必要になるが,それにはフルネ・セレ-の関係式を利用する.このような微分幾何の定理を利用することで接触線回りの幾何学と摩擦力の関係を調べる計画である.
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Causes of Carryover |
平成27年度の物品費に残額が生じた理由は殆どの時間をソフトの作成や計算等,理論的研究に費やしたためである.その結果,計画より15万円程度の残額が生じた.旅費にも残額が生じた理由は,国内でも沖縄と東京において国際会議があり,あえてテロや感染病の多発している海外での国際会議に行く必要がなかったためである.それに伴い学会への参加登録費でも約8万円の残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費については,東京と新潟のトライボロジ-会議で研究発表を行う予定であり,6月にフィンランドで開催される国際会議に出席し,研究成果を発表する計画である.計算結果を表示するグラフィックソフトの購入や実験装置の試作にも利用する計画である.
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[Presentation] Novel Joint Applicable in Off-Centered Condition2015
Author(s)
Keiji Imado, Kiyoshi Terada, Thomas Harran
Organizer
ICMDT2014(The 6th International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology, Okinawa, Japan)
Place of Presentation
沖縄コンベンションセンター (沖縄県 宜野湾市真志喜 4-3-1)
Year and Date
2015-04-22 – 2015-04-25
Int'l Joint Research