2014 Fiscal Year Research-status Report
プラスチック材料と金属材料との異材接合を可能にするリベット締結法の開発
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26420082
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
海津 浩一 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50177317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 締結強度の信頼性向上 / 打抜き速度の検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で用いる打抜きリベット締結法は、リベット軸による薄板の打抜きによる穴あけ加工とリベットの締結加工を瞬時に行うものである。本研究の目的は、この打抜きリベットを用いて、信頼性の高い、新たな金属とプラスチックの接合法を開発することである。この締結法では、プラスチックと金属を同時にリベット軸で打ち抜くため、もろいプラスチックでは薄板が打抜き過程でわずかな不均一な変形が生じるとき裂が入る可能性があり、このことが本手法により作製した継手強度のばらつきの原因の一つになると考えられる。本年度は当初の計画通りに、アルミニウム合金薄板とアクリル板薄板を固定する治具を作製し、その治具を用いて準静的荷重によるリベットの薄板への打込みを行って継手を作製した。そして、その継手を切断して締結状態を観察するとともに引張せん断試験を行い、薄板を固定することによる締結強度への影響を調査した。その結果、打抜かれた穴の切り口面の状態には大きな変化はなかったが、薄板を固定することにより締結強度のばらつきは小さくなり、継手強度の信頼性を向上させることができた。また、衝撃荷重を用いたリベットの薄板への打込み実験の準備として、大阪府立大学工業高等専門学校にある大型の衝撃試験機を兵庫県立大学に移設し、衝撃荷重によるリベットの打込みの予備実験を行い、継手作製のための実験条件を明らかにし、次年度の本格的な実験に備えることを計画していた。本年度は、計画通りに、衝撃試験機を兵庫県立大学に移設して試験機の整備を行い、予備実験を実施したが、荷重の測定精度が十分ではなかったため、荷重測定部の改良を検討していたところで本年度の研究期間が終了した。次年度当初には荷重の測定部の改良を終わらせ、衝撃荷重を用いた実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、二つの研究計画があった。まず、アクリル薄板とアルミニウム薄板を固定するための治具を作製し、薄板を固定した条件でリベット軸による薄板の打抜きによる穴あけとリベットによる薄板の締結を行い、薄板の固定によって継手強度のばらつきを改善することを計画していた。この計画については、実施することができ、薄板を固定することでアクリルのようなもろい材料に対しても継手強度のばらつきを抑えることができることを明らかにできた。もう一つの計画は衝撃荷重を用いたリベット軸の薄板への打込みを行い、リベットの打込み速度が継手強度に及ぼす影響を明らかにすることである。そのために、衝撃試験機を兵庫県立大学に移設して整備することで、衝撃荷重を用いた実験が実施できるように準備することを計画していた。実際に衝撃試験機を移設し、試験機の整備をし、予備実験を行ったが衝撃荷重の測定精度が不十分であった。そこで、衝撃荷重の測定精度を改善するために荷重測定部の改良を検討していたが、その結果がまだ得られていない点が計画通りではなかった。以上のことから、計画の一部が実施できなかったが、総合的に考えて、おおむね計画通りに進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
衝撃荷重を用いてプラスチックを打抜くと打抜き穴の切り口面の加工精度が向上するといわれていることから、今後は、衝撃荷重を用いたリベット軸の薄板への打込みを行い、リベットの打込み速度が継手強度に及ぼす影響を明らかにすることを計画している。現状では、衝撃試験機の荷重測定の精度に問題があるが、それ以外の変位や打抜き速度の測定には特に問題がない。そこで、まず荷重測定部を有限要素解析ソフト LS-DYNAを用いて解析し、その解析結果をもとに、本研究の実験条件に対して適切な荷重測定部の設計を行う。そして、その設計案により荷重測定部を作製し、実際に衝撃実験を行うことで設計案の通りに精度よく測定できるかを確認する。現段階で問題となっている荷重測定の精度の問題が解決できしだい、衝撃荷重を用いたリベットの薄板への打込み実験を行う計画である。
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Causes of Carryover |
衝撃荷重を用いたリベットの打込みには打込み速度の測定が必要である。そのため、本年度は、衝撃荷重を用いたリベット軸の打抜き速度の測定用に高速度カメラとその画像処理用のキャプチャーボートを購入した。それらが高額であり、その結果、残額が少額になったため次年度の試験片用の材料の購入にあてることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は多くの実験を計画しており、試験片用の材料を多めに購入する予定であるので、次年度の試験片用の材料の購入にあてる予定である。
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