2015 Fiscal Year Research-status Report
合金含有複合炭素皮膜(AMe-DLC)を用いた高機能接触表面の創成
Project/Area Number |
26420085
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 耕祐 日本大学, 工学部, 准教授 (40420004)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | トライボロジー / 薄膜 / 滑り形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度導入した加振能力が高い新しい加振機と加振台にあわせ、試験片およびセンサー取り付け部の構造を改良して設置し、動作確認を完了した。これにより、実験可能な条件範囲が大幅に拡張し、実験の繰り返し精度も向上した。なお、今年度は以下に示す一定加振力条件での実験を行ったが、次年度は一定振幅条件での試験精度も向上させるべく、制御ユニットを更新し、さらなる装置改良の準備中である。 上記試験装置により、銅を添加したAMeDLC膜を被覆した試験片を用いて、垂直荷重 0.5~2.0 N、加振力 1.0~2.9 N の範囲で振動周期 10 Hz の振動実験を行ない、滑りと表面損傷の形態を解析した。その際、前年度の成果にもとづいて、1周期中の接触状態の変化も解析した。大別して局所すべりと巨視的すべりの2種類のすべり形態が観測され、摩擦の進行と共に滑り形態が遷移する場合も観察された。それの結果を用いて、滑り形態と、表面の損傷(摩耗の程度と皮膜剥離の有無)による現象の分類を試みた。そして、縦軸を単位垂直荷重あたりの加振力、横軸を試験開始時と終了時の振幅の比としてすべてのデータをプロットすると、同一の滑り形態と損傷形態を示すいくつかの領域に分類できることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度発生した改良試験装置立ち上げの遅れが3月末までに完全に取り戻せなかったが、4月末までに解消され、5月より本格的な試験を開始する予定である。 また、前年度、皮膜供給元である東北大学のマシンタイムの制約により、異なった金属を添加したAMeDLCの試作が遅れていたが、これも完全に解消されていないため、方針変更が必要である(別記)。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究で、滑り形態と損傷形態をmap状に分類し、加振力や振幅などの加振条件が与えられると損傷が予測できる可能性を見いだした。一方で、研究協力機関の時間的制約から、種々の材料の試験片の試作に遅れが出ている。よって、以下のように方針変更した上で推進する。 東北大が開発する種々の材料を用いた実験の優先順位を下げ、現在十分な試験片数が確保できているCuDLCを用いて当初計画よりも広範囲な条件での実験を行い、摩擦形態と損傷形態を分類した形態図の拡充を図る。そのために、前年度実施した一定加振力条件に加え、一定振幅条件における試験を、加振周波数等の条件範囲も拡大して実施し、汎用性のある結果を得る。また、在来材料においても試験を行って比較し、開発材の優位性と問題点を明らかにする。これによって研究協力機関の材料開発の指針を得ることにより効率化を図り遅れを取り戻すべく推進する。
|