2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代マイクロ・ナノ加工を実現するための剛性可変型エアタービンスピンドルの開発
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26420092
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 友規 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (20390429)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機械要素 / マイクロナノ加工 / 静圧空気軸受 / 超精密加工 / 油空圧機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超精密切削・研削加工に用いられる静圧空気軸受エアタービンスピンドルの回転数と剛性の制御に関するものである.特に,気体用超精密圧力レギュレータ(HPR)による,エアタービンスピンドルの回転数及び軸受剛性の制御に関する研究に取り組んでいる. 今年度の研究成果は以下の通りである. 1)本研究のコア技術は,精密加工用の静圧空気実受エアタービンスピンドルに非接触型の回転計を内蔵し,外乱オブザーバを含む回転数のフィードバック制御機構を構成し,空気の供給システムにHPRを使用することである.平成27年度の本研究では,この方式により回転数が制御されるエアタービンスピンドルに小径超鋼ボールエンドミルを取り付け,合金工具鋼(SKD61およびSKD11)の切削加工加工実験を行った. 回転数を能動的に制御・補償する提案方法に比べ,従来方法(回転数制御なし)の場合には,切削外力により,回転数が大きく(回転数の1割以上)変動する.本加工実験では,回転数の制御の有無による回転数の変変動量と,それに伴う工具寿命と工作物の加工精度を比較・評価した. また本実験において,HPRからの供給圧と工具摩耗量の関係を調べたところ,両者の間には高い相関がみられた.このことから,圧力上昇量と工具摩耗の関係から推定式の算出が可能であると考えられ,本点は調査継続中である. 2)静圧空気軸受への供給圧力をHPRで制御し,軸剛性を制御する方法を提案した.超精密研削加工においては,スラスト方向の軸剛性の制御に対するニーズがあることより,スラスト方向の供給圧力をHPRにより制御し,軸剛性を可変にする実験を行った.実験の結果,提案した方法により,スラスト方向の剛性を制御できていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を概ね満たしていると考えている. 特に,提案方法の切削加工への適用と評価の実験については,提案方法によりエアタービンが起動時に必要とする消費エネルギーが数分の1程度に削減出来ていることを確認したことや,HPRからの供給圧と工具摩耗量の間に高い相関関係があることを掴んでいることは,現時点での大きな成果だと考えている.また,軸受の剛性制御についても,順調に進んでいる. 一方,研究計画に掲げている,特に切削加工時における電動タービンとの加工精度・消費エネルギーの比較や,静圧空気軸受の剛性制御の研削加工への適用と評価については,これから実施すべき課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までの研究で,提案方法により切削加工を実施した際に,HPRからの供給圧と工具摩耗量の間に高い相関関係があることを掴んでいるが,まだ実験テータは少なく,定量的な評価には至っていない.まずはこの点を明らかにするための実験を実施する. また,切削加工時における提案方法と電動タービンとの加工精度・消費エネルギーの比較と,静圧空気軸受の剛性制御の研削加工への適用と評価について,平成28年度に実施していく予定である.
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Causes of Carryover |
研究は概ね予定通り進行しているが,次年度使用額が生じた主な理由の一つには,物品購入について本学事務部局の努力により,当初の想定よりも各備品・物品が安価で購入できたことが挙げられる.また,長崎大学と共同で実施した切削加工実験において,多くの消耗品費と施設利用に係る費用について,長崎大学側がご負担くださったことも理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,平成28年度に実施する切削・研削加工実験に係る物品購入費用および研究打ち合わせ・実験・学会のための旅費(出張費用)として使用する.
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Research Products
(13 results)