2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420097
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
三戸 陽一 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20422032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乱流 / 混相流 / 分散流 / 粒子 / 液滴 / マイクロバブル / 乱流制御 / 直接数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,物質輸送プラントや相変化を伴う熱交換器内において生じる乱流状態の流体相と粒子・液滴・気泡等の分散相が混在した流れ (分散流) における分散相/流体の輸送メカニズム,マイクロスケールの粒子・液滴・気泡の添加による流体輸送あるいは流体中における物質/物体の輸送の高効率化・抵抗低減のメカニズムに対する理解を得ることを目的として実施された.本研究課題は次の3つのテーマにより構成される.(1) 不均一流体乱流内における粒子輸送・粒子による流体乱流抵抗低減のメカニズムの解明.(2) 不均一液体乱流内におけるマイクロバブル輸送・マイクロバブルによる液体乱流抵抗低減のメカニズムの解明.(3) 流体乱流内の物質・熱の輸送に対する粗面の影響に対する考察. テーマ1については,研究課題初年度 (平成26年度) に実施した鉛直に設置した平行平板間チャネル内下降気体乱流中に粒子を均一添加した場合の非定常挙動の直接数値シミュレーションの結果の解析を進めた.テーマ2については,鉛直に設置した平行平板間チャネル内上昇液体乱流中にマイクロスケールの気泡を均一添加した場合の非定常挙動の直接数値シミュレーションを初年度に引き続き実施し,これに並行して,得られた結果の解析を進めた.テーマ1に関する成果は国内外の会議において公表した.次年度 (平成28年度) 以降,テーマ1から得られた結果において示唆された乱流の基礎知識の改訂に関わる内容の検討を進める必要が生じた.テーマ2に関する成果は次年度の国内外の会議にて発表予定である.本研究課題初年度~本年度の研究において,テーマ1と2について更なる推進が必要と判断されたため,最終年度 (平成28年度) を含め,本研究課題におけるテーマ3の実施は中止とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,(1) 不均一流体乱流内における粒子輸送・粒子による流体乱流抵抗低減のメカニズムの解明,(2) 不均一液体乱流内におけるマイクロバブル輸送・マイクロバブルによる液体乱流抵抗低減のメカニズムの解明の2つのテーマを並行して行った.本研究課題の当初計画の3つめのテーマ『流体乱流内の物質・熱の輸送に対する粗面の影響に対する考察』については,テーマ1,2において重要度並びに緊急度の高い検討事項が見出されたため,本研究課題における実施は中止とした. テーマ1においては,前年度 (平成26年度) に実施した鉛直に設置した平行平板間チャネル内下降気体乱流中に粒子を均一添加した場合の非定常挙動の直接数値シミュレーションの結果を用いて,粒子の慣性・体積割合,移流の対重力効果を表すフルード数の流体乱流に及ぼす影響に対して検討を加えた.粒子慣性の増加に伴う粒子による流体加振スケールの増加,これに伴う粒子による流体駆動力並びに流体乱流の減少,すなわち流体乱流の加振スケールの増加に伴う乱流によるエネルギー・カスケードの消滅が示された.平成28年5月イタリア・フィレンツェにて開催される混相流国際会議において,結果の総括と流体乱流におけるエネルギー輸送に対する基礎概念の修正を視野に入れた議論の必要性を発表する予定である. テーマ2においては,初年度に開始した鉛直に設置した平行平板間チャネル内上昇液体乱流中にマイクロバブルを均一添加した場合の非定常挙動の直接数値シミュレーションを引き続き行い,気泡のサイズ・体積割合,フルード数が液体乱流に及ぼす影響に対して検討を加えた.粒子サイズの増加の影響が,終端速度の増加に伴う壁垂直方向リフトの増加とこれに伴う壁面上濃度の増加として現れることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
粒子分散流の研究 (テーマ1) においては,各フルード数,各体積割合において,粒子時間定数の範囲 (無次元時間定数50~200) を下方 (無次元時間定数20等) に拡大する追加計算を行う.また,三次元可視化ソフトTecplotを用いて,粒子分散と流体乱流構造の相関,特に上述の加振スケールの流体乱流構造に及ぼす影響に対して検討を行う.可視化解析のための追加計算も行う.マイクロバブル流の研究 (テーマ2) においては,平成26年度より実施中の計算が平成28年度にほぼ終了する予定である (現在考慮中のパラメータ範囲の計算全てが終了するのは平成29年5月の予定).粒子分散流 (テーマ1) とマイクロバブル流 (テーマ2) の比較のため,マイクロバブル流中における気泡と流体乱流構造の相関に対してもTecplotを用いて可視化解析を行う.このための追加計算も行う.全ての計算は,本研究課題に対する補助金により平成26年度に導入した計算機と,同研究代表者の平成22~24年度基盤研究 (C) (一般) 『二相分散流システムにおける物質輸送機構のモデル化』(課題番号22560154) に対する補助金により導入した計算機を用いて行われる. テーマ1については,平成28年5月フィレンツェにて開催される混相流国際会議において発表した内容を発展させたものを同年9月名古屋にて開催される日本流体力学会年会において発表する予定である.テーマ2については,流体乱流に対する添加気泡のサイズの影響に対する検討結果を平成28年8月京都にて開催される混相流シンポジウムにおいて発表する予定である.これらに並行して,両テーマにおいて得られた成果を雑誌において発表する準備を進める.
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Causes of Carryover |
上記研究テーマ1『不均一流体乱流内における粒子輸送・粒子による流体乱流抵抗低減のメカニズムの解明』の拡大に伴い,国際会議において,現段階における取りまとめ内容の披露,検討内容に関する意見交換,関連研究についての情報収集を行う必要が生じたため,当初予定していたデータバックアップ用ネットワーク接続ハードディスクの購入を中止した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年5月にイタリア・フィレンツェにて開催される第9回混相流国際会議 (ICMF2016) へ参加するための旅費及び参加登録に充てる.当会議において,粒子添加によって流体乱流に生じる変化における粒子慣性が流体乱流構造に及ぼす影響に対する検討結果 (テーマ1) を発表する.当初計画において購入を予定していたデータバックアップ用ネットワーク接続ハードディスクについては,次回 (平成28年度) の科学研究費申請に含める.
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Research Products
(7 results)