2015 Fiscal Year Research-status Report
ロバスト流れ制御デバイスによる革新的フィルム冷却機構に関する研究
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26420098
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船崎 健一 岩手大学, 工学部, 教授 (00219081)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フィルム冷却 / 制御デバイス / CFD / 感圧塗料 / 高密度比 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィルム効率を劇的に向上させる新規デバイスの考案、CFDによる最適化に取り組むとともに、実験による検証のための試験装置及び計測方法の開発を行った。 フィルム冷却孔より発生し冷却効率の著しい低下を招く、CRVPと呼ばれる渦の抑制に効果を発揮する突起型デバイスDFCDs(Double Flow-Control Devices)に関する研究を実施してきた.このDFCDは下流において馬蹄形渦や剥離渦を形成し、前述したCRVPを制御する能力を有す。 突起型DFCDs設置による空力損失の問題に着目し、これまでの突起型デバイスからディンプル型デバイスへと大きく形状を変化させ、CFD解析による調査を実施した。この調査においては、デバイス形状、配置個数等を変化させ、その効果について調査した。その結果突起型DFCDsと同等の効率向上効果を発揮する形態を発見することができた。 高密度比試験実現のため、二酸化炭素供給から排気に至るまで、安全な計測環境を構築した。また、密度比がフィルム空気の挙動に与える影響を解明するため、レーザー・高速度カメラを用いた流れ場観測を実施した。その結果、密度比増加によって二次空気の壁面付着性が向上する結果が得られた。またDFCDsを付加した計測においては、DFCD近傍でデバイスの吹き降ろし効果とみられる流れ場が観察され、それによって二次空気付着性がより向上する様子が確認された。 本研究では新たな計測技術の開発も併行して進めてきており、PSPと呼ばれる機能性分子を利用した伝熱計測の開発に成功している。本計測技術を利用して高密度比での試験を実施した結果、既存のDFCDsモデルによるフィルム効率向上の効果を確認することはできたが、その性能にまだ改善の余地があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DFCDsの性能はDFCDの形状、主流と2次空気の吹き出し比や密度比により左右されるため、従来よりタグチメソッドの静特性を用いたDFCDの最適化をCFDにより進めてきた。加えて、最適化の精度検証も行うべく各種伝熱計測による評価も実施してきている。しかしながら、密度比の変化はこれまで主流と2次空気の温度差により与えていたため、精度検証は密度比DR=0.85 あるいはDR=1.0 における結果のみに留まっていた。これは既存の試験装置の関係上、温度により高い密度比を生じさせるには大規模な設備投資が必要となっていたためである。これに反して、実機における密度比はDR=2.0程度とされており、よりロバストなDFCDの開発を行うにあたり高密度比条件におけるDFCDの精度検証試験は不可欠なものであると考えられる。この目的達成のため、二酸化炭素供給から排気に至るまで、安全な計測環境を構築した。また,密度比がフィルム空気の挙動に与える影響を解明するため,レーザー・高速度カメラを用いた流れ場観測を実施した。また、高密度比での実験を可能にすべく、本研究では新たな計測技術の開発も併行して進めてきており、PSPと呼ばれる機能性分子を利用した伝熱計測の開発に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のディンプル型デバイス開発については、フィルム効率だけでなく空力損失についても考慮し、タグチメソッドなどを用いた形状最適化や実験的調査を実施していく。また実験では、PIV計測へと発展させ、2D-3CPIVなどを駆使してより詳細なデータの取得に取り組む。また、今回高密度比での試験を実施した結果、既存のDFCDモデルによるフィルム効率向上の効果を確認することはできたが、その性能にまだ改善の余地があることも明らかとなった。即ち、高密度比における最適化形状があることが強く示唆されており、開発したPSP計測技術を利用して、今後もEFD/CFDの双方からDFCDの形態について検証を進めてゆく必要がある。
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