2015 Fiscal Year Research-status Report
異種音響インピーダンスの模擬物質による生体中衝撃波伝播現象の解明
Project/Area Number |
26420100
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80536748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 俊広 東北大学, 流体科学研究所, 技術専門員 (30375133)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生体衝撃波干渉 / 水中衝撃波 / 水中膨張波 / 音響インピーダンス / 光学可視化計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体中の衝撃波作用による影響(損傷)に関わる衝撃波医療応用研究、衝撃波殺菌技術等のバイオエンジニアリング分野応用研究へ展開するための研究基盤を確立することを目的として、音響インピーダンス(媒体の密度と音速の積)に着目し、その値が種々異なる生体模擬物質中を伝播する衝撃波現象解明を行う。 本年度は、昨年度を継続して音響インピーダンス差のある媒体界面での衝撃波挙動解明に関して、実験に用いる媒体を増やした種々音響インピーダンス差のある界面および界面形状での衝撃波干渉現象に関して、主に高時間・空間分解能を有する光学可視化計測および圧力計測による実験を行った。水中膨張波作用による気泡発生と初期衝撃波強さとの関係を表す実験式構築のためのデータの蓄積ができた。また実験結果より、反射する媒体の音響インピーダンス値よって反射衝撃波圧力ピーク値が増減する、衝撃波現象において音響学の理論と一致する傾向があるという知見が得られた。また、水―空気界面形状を楔型にした衝撃波干渉実験では、衝撃波発生位置と界面の位置関係で膨張波気泡発生位置を変えられる結果が得られたため、膨張波気泡発生制御が可能であることが示された。これらの結果は、衝撃波生体損傷の防止対策、あるいは逆にそれを利用した殺菌等の技術開発に生かされる重要な知見となるものと考えられる。 また、生体模擬物質を用いた衝撃波伝播、反射挙動に関して汎用数値解析ソフトウエアANSYS AUTODYNを用いて数値解析を行い、時系列の密度あるいは圧力コンターを得て、実験結果との比較を行い、各挙動に関して定性的な結果が得られ、次年度の膨張波作用による気泡生成の制御法確立に繋げられると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究では、生体模擬物質中の衝撃波伝播挙動に関して、音響インピーダンスに着目した実験的、数値解析検証が計画通り進み、実験結果から生体模擬物質中の各衝撃波挙動の解明をより進められたため、国内会議および国際会議にて発表を行った。また衝撃波挙動の定性的に把握した内容が英文論文紙に掲載、また今年度実施して得られた実験結果より現象の定量的評価に結びつけられる結果がまとめられたので英文論文誌への投稿準備中である。さらに膨張波による気泡発生の制御に繋げられる結果が得られ、数値解析に関しても、現段階の実験データとの比較で定性的、定量的な良い一致を示す結果が得られているため、計画通りおおむね順調に研究は進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は当初の計画通り、データ蓄積した薄板を用いた音響インピーダンス差のある媒体界面での衝撃波挙動実験結果データより、水中膨張波作用による気泡発生と初期衝撃波強さとの実験式の構築を行い、数値計算での検証を行う。また、膨張波気泡発生の制御方法の確立のため、界面形状、寸法、衝撃波発生源の位置関係等をパラメータとした実験を実施し検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
平成27年度計画における、膨張波作用による気泡発生の制御法の確立検討に関する実験において、当初予定していた実験条件、繰り返し数よりも少ない実験で、本年度目的の気泡発生制御が可能であるという結果が得られたため、予定より少ない予算で本年度の実験を終えられたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定している平成28年度予算と平成27年度の差額を用いて、膨張波作用による気泡発生の制御法の確立に達せられる結果が得られるように、衝撃波発生用の火薬や試験材料費等の実験消耗品に充てる予定である。
|
Research Products
(12 results)