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2015 Fiscal Year Research-status Report

P-セレクチン上での好中球のローリング特性に与える接触力の影響に関する実験的研究

Research Project

Project/Area Number 26420101
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

白井 敦  東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (20302226)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords好中球 / ローリング / 押しつけ力 / 表面幾何形状 / PDMS / 傾斜遠心顕微鏡
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度は,血管内皮表面の幾何形状と軸集中した赤血球からの押し付け力が,血管内皮上を転がる好中球の挙動に与える影響を解析することを目的とした.そのため,血管内皮細胞層表面を六角形パターンで模擬したPDMS基板を作成し,傾斜遠心顕微鏡を用いて,各種押しつけ力下におけるHL-60細胞(好中球のモデル細胞)の挙動を観察した.
まず,フランスリヨン第一大学の研究協力者の助力の下,シリコンウェハー上に六角形パターンを作成した.本パターンは,血管内皮細胞の表面サイズと等しくなるように設計され,パターンの間隔はHL-60が通過できるよう12μmとし,高さを血管内皮細胞の高さを考慮して2.3μmとした.このウェハー上にPDMSを塗布して硬化させ,切り出したものをガラス平板に接着することで基板を作成した.また,比較用として,幅12μm,深さ2.3μmの直線パターンも作成し,押しつけ力を負荷した状態でこれらパターン上における細胞の挙動を計測した.
血球の挙動観察では,細胞の駆動力を30pNで一定とし,押しつけ力を,傾斜遠心顕微鏡の動作範囲である20.5pN~70.5pNで変化させて,個々の細胞の軌跡をトレースした.その結果,押しつけ力が小さい場合は,細胞は基板表面のパターンにかかわらずほぼ直線的に移動するのに対し,押しつけ力が大きくなるに従って細胞は六角形パターンに沿って移動することが示された.生体内において,好中球と接着するP-selectinは血管内皮細胞の辺縁部に特異的に発現することが知られており,本結果は,血管内皮表面の幾何形状と軸集中した赤血球からの押し付け力が,血球のP-selectinとの結合に寄与することを示唆している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度に予定した研究は順調に消化され,血管内皮表面の幾何形状と軸集中した赤血球からの押し付け力が血球の挙動に与える影響に関する重要な基礎資料を得た.得られた結果は,理論解析とよく一致しており,次年度の数値解析の重要な比較データとなる.
ただし,本実験は,細胞の状態に依存する上に,統計的に有意なデータを得るためには回数をこなす必要があり,十分な量のデータを得るために当初より時間がかかったことが問題であった.異なるパターン上におけるHL-60細胞の挙動との比較を計画しており,次年度は,数値解析コードの開発と平行して実験を行う必要がある.

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は,これまで得られた実験データを基に血球のローリングを再現する数値解析コードの開発を計画している.現在,その準備として三次元流体解析コードを完成させており,これに血球の挙動に関するパートを加えて完成させる予定である.
また,これと平行して,傾斜遠心顕微鏡を用いたHL-60細胞の挙動観察を継続する.平成27年度に用いた六角形パターンは正六角形であった.血管内皮細胞は剪断応力に晒されるとその方向に伸長,配向することが知られており,生体内において血管内皮細胞は血管軸方向に伸長すると考えられる.そのため,伸長した六角形パターンを用いた挙動解析を行い,正六角形の場合と比較することで伸長が血球の挙動に与える影響を定量的に評価する.

Causes of Carryover

当初額より約29万円の減となっているが,これは主に物品費の差に起因すると考えられる.これは,シリコンウェハーに血管内皮表面を模擬したパターンの作成において,フランスリヨン第一大学の研究協力者の助力により,その作成費用がかからなかったことによる.

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度はこれまでの研究成果を纏めて学会発表等を積極手に行うため,旅費として使用する予定である.また,実験の助言を得るため,研究協力者の短期招聘を計画している.

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results)

  • [Int'l Joint Research] リヨン第一大学(フランス)

    • Country Name
      FRANCE
    • Counterpart Institution
      リヨン第一大学
  • [Presentation] Rolling characteristics of neutrophils on PDMS surface mimicking the endothelial topography2015

    • Author(s)
      Atsushi Shirai, Jean-Paul Rieu
    • Organizer
      the 15th International Sympoium on Advanced Fluid Information (AFI-2015) in ICFD2015
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2015-10-27 – 2015-10-29
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 押しつけ力作用下における好中球のローリング特性解析・伝統中国医学の科学的検証2015

    • Author(s)
      白井敦
    • Organizer
      東北大学・信州大学共催シンポジウム
    • Place of Presentation
      東北大学流体科学研究所(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2015-10-22 – 2015-10-23
    • Invited
  • [Presentation] 傾斜遠心力場における血球の挙動解析2015

    • Author(s)
      白井敦
    • Organizer
      日本機械学会2015年度年次大会
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道札幌市)
    • Year and Date
      2015-09-13 – 2015-09-16
    • Invited

URL: 

Published: 2017-01-06  

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