2016 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of contact force on rolling characteristics of neutrophils on P-selectin
Project/Area Number |
26420101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 敦 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (20302226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 好中球 / ローリング / P-セレクチン / 押しつけ力 / 傾斜遠心顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液成分のうち,主に生体防御に関わる白血球の中で最も多数を占める好中球は,急性感染の場合に急激に数が増加するとともに,炎症病巣へ遊走して細菌等を捕食する特性をもつ,生体防衛の最前線で戦う細胞である.炎症病巣への遊走に際して,好中球は,まず血管内皮細胞に接触し,ローリングと呼ばれる,血管内皮細胞上に発現する接着分子の一種であるセレクチンとの結合・離脱を繰り返しながら転がる挙動を示す.血管内皮細胞上における好中球のローリングは,免疫反応における好中球の最初期の反応であり,その特性を明らかにすることは,免疫機能の解明に非常に重要である. 好中球は,血管内において,軸集中した赤血球により血管壁に押しつけられながら移動することが知られている.本申請課題では,この押しつけ力が好中球のローリング挙動に与える影響に注目し,各種濃度のP-セレクチンでコーティングしたガラス平板上を移動する,ATRAで好中球様細胞に分化したHL-60細胞の挙動を観察することで,コーティングしたP-セレクチンの濃度と,押しつけ力が血球の移動速度および基板への付着率に与える影響を解析した. その結果,付着率に関しては,押しつけ力の増加とともに増加するが,P-セレクチンの濃度には影響を受けないことが示された.また,平均移動速度に関しては,押しつけ力またはP-セレクチンの濃度の増加によって減少することが示された.しかし,Controlとして計測した,BSAをコーティングしたガラス平板上におけるHL-60細胞の平均移動速度で無次元化した無次元平均移動速度は,押しつけ力に関わらず,P-セレクチンの濃度で規定されることが明らかになった.このことは,押しつけ力とP-セレクチン濃度がローリングの減速に与える影響は互いに独立であることを示している.本知見は,傾斜遠心顕微鏡システムを用いて初めて明らかになったものである.
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Research Products
(6 results)