2014 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーション技術を用いた溶融液体内に生じる乱流機構の解明と予測法の開発
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26420104
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
太田 貴士 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10273583)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乱流 / 溶融 / 非ニュートン粘性流体 / 熱対流 / 直接数値シミュレーション / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
液体金属のように、固体相から溶融した液体中に生じる乱流の発生維持機構を解明するとともに、高精度に予測する方法を開発することを目指している。はじめに、相変化の影響のために固液界面で運動量輸送を考慮して、半溶融帯のために温度に依存する粘度変化の効果を導入することによって、相変化の影響と半溶融帯を伴う溶融液体内に発生する乱流の直接数値シミュレーションを実現するための解析法を開発した。次に、乱流の直接数値シミュレーションの大規模数値計算を実行し、流れ場の時空間情報を蓄積することによって、溶融液体内に発生する乱流場のデータベースを構築できた。さらに同時に、研究目的として注目している複合的な物理現象を個別の要素に分類し、各現象に集中した複数のシミュレーションを実行するために、直接数値シミュレーション解析法の問題点を見直して、データベースの解析のために必要な高精度化を達成できた。そして、熱対流によって形成される乱流場、温度分布によって固液界面付近の粘度変化を伴う非ニュートン粘性流体の乱流場、および、固体相から溶融する相変化を伴う乱流場の高精度な直接数値シミュレーション解析法を開発し、各乱流場のデータベースを構築した。これによって、解析結果のデータベースの信頼性の検証を実行する研究過程を確立できた。 さらに、上の成果を受けて、一部の計画を早めて、直接数値シミュレーションの解析結果を利用して、溶融液体内の乱流に関する知見を得るとともに、予測法開発のために必要な乱流の性質を抽出する解析を実行した。この解析を発展させて、瞬時構造を可視化し、時間変化を観察するとともに、乱流エネルギー収支を評価することによって、溶融液体内で乱流場が発生、維持するメカニズムを解明するための準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、固体壁の溶融を伴う乱流場の直接数値シミュレーションを実現でき、解析結果のデータベースを構築することができた。ただし、将来の複雑な乱流場の予測方法開発の実現性を念頭に置いて、より高精度な乱流の直接数値シミュレーションを実現するために、大規模な数値シミュレーションを複数の条件で実行することになり、計算時間を延長することになった。そして、一部の追加の解析は次年度に継続することになった。また、データベースの構築が完了した解析対象については、他に先駆けて、乱流場の構造解析を開始した。そして、乱流場の予測法としての乱流モデルの開発のための試行実験の準備を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、乱流場の直接数値シミュレーションとデータベースの構築を継続する。さらに、溶融液体内で乱流場が発生、維持するメカニズムを解明するための乱流場データベースの解析に集中する。具体的な解析方法の例として、瞬時構造を可視化し、時間変化を観察するとともに、乱流エネルギー収支を評価する。さらに、必要に応じて、新たな解析方法の考案もある。そして、乱流モデルの開発と高精度化に必要な乱流現象に関わる知見を得ることを目指す。
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Research Products
(2 results)