2015 Fiscal Year Research-status Report
流体混合器とバブル噴流式気泡ポンプを用いた環境改善と海底資源の採掘
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26420117
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐田富 道雄 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50109667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流体工学 / 混相流 / 環境技術 / 海洋資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次の三つからなるので,それぞれについて研究実績の概要を示す. 1. 酸素,CO2マイクロバブルの水への溶解: 佐田富らの流体混合装置を用いて二酸化炭素を水道水と人工海水に溶解する試験を行った.この研究は化石燃料の燃焼に伴って発生するCO2の水中への固定を目的としており,水道水中よりも人工海水中のほうが気泡は微細となり,溶解特性も優れることが明らかとなった.成果は国内学会で発表した. 2. ミストによる有害ガスの吸着試験: 佐田富らの二流体式流体混合装置と市販のガーデニング用の一流体旋回式噴霧ノズルおよびドライミスト用二流体式噴霧ノズルの性能試験を行った.佐田富らの装置は,噴霧に必要な動力は他の二種類よりも大きいものの,発生したミストによるCO2の吸着量は他の二種類による場合よりも3割以上多いことを明らかにした.これは,一流体旋回式噴霧ノズルでは粒径が80 mを超えるミストのCO2雰囲気中の滞留時間が短いこと,およびドライミスト用二流体式噴霧ノズルでは20 m未満のミストが蒸発気化することによりCO2を吸着できないことが原因であることが明らかとなった.この成果は国内学会で発表するとともに2016年7月にスペインで行われる熱流体系の国際会議で発表の予定である. 3. 掘削兼用気泡ポンプ: 南鳥島周辺深海底からのレアアースを含む泥の採掘を目指して直径50 mmのライザーを持つ装置による模擬試験を行った.この場合,空気を深海底まで導くことは困難であるので,ライザーの途中から入れる方式を採用し,その空気の導入位置がポンプ性能に及ぼす影響を明らかにした.昨年度からの改良点はライザー下部のスカートの形状と水ジェット発生ノズルの位置の変更であり,これによって昨年までのものより低動力で揚固・揚水が可能となった.この成果は国内の学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究発表欄に記載のように,雑誌査読付論文4件(うち3件は昨年度の研究成果)と学会発表5件の研究成果を得ている. 三つの研究内容のうち,「1. 酸素,CO2マイクロバブルの水への溶解」のうちCO2マイクロバブルの水への溶解については発表が少しだけ遅れているが,「2. ミストによる有害ガスの吸着試験」については当初の計画以上に進展しており,「3. 掘削兼用気泡ポンプ」についても順調に成果が出ているため,「(1)順調に進展している.」を選んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
「1. 酸素,CO2マイクロバブルの水への溶解」については,酸素マイクロバブルに関する研究は論文発表まで終わったので,CO2マイクロバブルに関する試験を引き続いて行い,CO2の淡水および海水への溶解特性に及ぼす液温等の諸パラメータの影響を予測しうるモデルの開発および論文発表を行いたい. 「2. ミストによる有害ガスの吸着試験」については,2015年度の成果を2016年7月に行われる国際会議で発表すると共に,市販の他の機種との性能比較を継続して行いエネルギー消費が少ない機種の選定を行って学会発表したい. 「3. 掘削兼用気泡ポンプ」については2015年度の実験結果を表しうるように性能予測モデルを改良し,海底資源をより効率良く揚固できるようなシステムを開発するための数値シミュレーション試験を行って学会発表したい.
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Causes of Carryover |
6万円弱で購入したい物品を探したが,直ぐに必要なものがなかったので,次年度に残して物品費として使うほうが役に立つものが買えると判断したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に配分される物品費の一部と合わせて,流体計測用のセンサー等を購入する予定である.
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