2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420119
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
栗原 央流 大分大学, 工学部, 准教授 (90344481)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 混相流 / 分散体 / 解析力学 / キャビテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,解析力学(ラグランジュ力学)に基づいた定式化により液相中に分布する気泡と固体粒子の運動を記述する方程式を理論的に導出する.本研究で得られるモデル方程式はラグランジュ関数から導かれるため,自動的にエネルギー保存則を満足する点に特徴がある.この特徴は,後に実施する数値シミュレーションにおいて計算の安定性と高速化に関して有利に働くと期待される.本年度は,本研究の根幹をなす分散体の運動を記述する力学方程式系の導出を行った.本解析手法の手順は以下のようにまとめることができる. (1) 気泡と固体粒子からなる分散体間の非線形相互作用を考慮した周囲の液体の流れに対する速度ポテンシャルを求め,(2) そこから系の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを計算し,(3) 得られたエネルギー式からラグランジアンを求めラグランジュ方程式を構成した. ここでは,分散体のうち,気泡の変形に関して単極,2 重極,4 重極,8 重極に対応する振動モードを扱った.本研究のように,粒子間距離に関する漸近展開に関して従来より高次の項を考慮する場合,各振動モードに対して数百もの非線形項を処理することとなる.具体的には,これらの振動モードが球形固体粒子との相互作用によって励起されるメカニズムを表現するためには,求めるラグランジアンにおいて気泡間分離距離の逆数の5次以上の項が必要となる.本研究では,代数処理システムMaximaを用いて大規模な数式処理を自動化することで当初の目的通り,高次の相互作用項を含んだ方程式系の構成を可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画・方法どおり,ラグランジュ力学に基づいた分散体の運動を記述する方程式系が得られている.また,大規模な数式を自動的に処理する計算処理システムの構築が完了していることから概ね順調に研究が進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降,実際に複数の気泡・粒子からなる系に対する力学方程式を導出し,生成される数値計算コードを使って気泡群のふるまいの解析を行う.初めに最もシンプルな系として,一つの気泡と一つの固体粒子からなる系(軸対象)における相互作用を考慮した分散体の運動のシミュレーションを実施する.つづいて,これをより一般的な3次元空間における問題へと拡張する.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,大規模な数式処理を実行するためにワークステーションの購入と北海道大学,九州大学のスーパーコンピュータの利用を計画していたが,大幅なコードの改良によりスーパーコンピュータの消費リソースを少なく出来たこと,現有のワークステーションによる処理によってまかなえたことが理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,複数件の国際会議による成果発表を行うために当初計画よりも多くの旅費が必要となる見込みである.また,次世代CPUを搭載したワークステーションの発売が予定されており,これを導入することで次年度以降の計算リソースの大幅な増強を計画している.
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Research Products
(3 results)