2015 Fiscal Year Research-status Report
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26420122
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 宏充 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (60317336)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流体工学 / 乱流 / 数値流体力学 / LES / 渦 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱流中には、数多くの渦が存在している。その渦の断面は楕円形をしており、バーガーズ渦でよく近似できることが知られている。Large Eddy Simulation(LES)における大スケール(GS:grid scale)から小スケール(SGS:subgrid scale)、また、その逆輸送の分布を理解するために、この渦に対して、空間フィルタを施すことで、アプリオリテストを実施した。昨年度は、エネルギー輸送(スカラー)レベルでの分布や相関を検討したが、本年はそのエネルギーレベルにおいて、モデルの空間分布や相関も検討し、さらにテンソルレベルでの相関も検討を行った。 その結果、通常用いられるSmagorinskyモデルは、速度歪み成分が極大をとる、楕円渦の長軸方向(斜め方向)にforward scatter(FS)が起こることがわかった。これは、渦にフィルタをかけて得られるエネルギー輸送項のFSが背景場による圧縮方向(x軸)に現れ、伸張方向(y軸)にbackscatter(BS)が現れる位置とは45度ずれている。また、BardinaモデルはGS速度では表現できないGSとSGS速度の相関であるcross項とSGS速度の相関であるReynolds項をGS速度を使って表現するモデルであるが、cross項とReynolds項をモデル化したBardinaモデルによる空間分布は、それぞれよく似ており、エネルギー輸送項とは逆相関の分布になることがわかった。テンソルレベルでの相関が高くとも、エネルギーレベルでは、空間相関が落ちることがあることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楕円形バーガーズ渦の解析解から、様々な輸送項の空間分布を描画し、相関も求めることができた。エネルギーレベルのみならず、テンソルレベルでの検討も行い、実験や直接計算(DNS:direct numerical simulation)の速度場に空間フィルタをかけた分布を検討するよりも、数学的に現象を理解できる土壌を確立することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
直接計算(DNS:direct numerical simulation)の高速化を行っているが、その結果と解析解の比較を行う。また、実際には速度つまりベクトルレベルでのNavier-Stokes方程式を解くことで、計算を行うので、ベクトルレベルでの空間分布や相関についても、検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
来年度に本研究と関連する国際会議が多く行われることから、成果発表・情報収集のために、次年度に使用額を確保したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議3件、国内会議2件を予定しており、旅費などに使用する。本研究をさらに進めて、新規研究にも繋げるべく、国際会議、国内会議にて、国内外の研究者と共同研究に繋げる議論を進める予定である。
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