2014 Fiscal Year Research-status Report
機能・知能性流体を用いた次世代エネルギー輸送デバイスの研究開発
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26420126
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山口 博司 同志社大学, 理工学部, 教授 (80191237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須知 成光 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (00347204)
岩本 悠宏 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (30707162)
桑原 拓也 日本工業大学, 工学部, 助教 (70602407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体工学 / 機能・知能性流体 / 混相流 / 感温性磁性流体 / 熱伝達特性 / MEMS / 自然対流 / 格子ボルツマン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,CPUやLEDなどの冷却に対する除熱限界の飛躍向上の実現に向けて,磁場および流体温度に感応する磁性流体を用いた熱輸送装置を提案するものである.本年度は,MEMS磁気駆動熱輸送装置と非磁性粒子混入系熱磁気自然対流の2テーマに焦点を当て,それらの流動メカニズムについて,実験的・解析的に調査を行った. 1.MEMS磁気駆動熱輸送装置 非共沸混合磁性流体における流動伝熱特性の基礎的な知見を得るために,磁場印加流路内を閉ループで循環する装置を試作し,外部磁場分布を変化させた際の検出流量,顕熱および加熱部の局所熱伝達の調査を行った.その結果,非共沸混合磁性流体の自己循環試験において,入力する熱量の増加に伴って,熱伝達率の向上を確認した.これは非共沸混合磁性流体が沸騰することにより,沸騰気泡による浮力および沸騰潜熱が熱伝達を促進するためである.また,マイクロチャンネルにおける伝熱特性の評価として,熱物性値よりエネルギーバランスから流体温度を推算し,マイクロチャンネル内の沸騰二相流伝熱特性の評価方法の確立を行った. 2.非磁性粒子混入系熱磁気自然対流 非磁性粒子混入系磁性流体の自然対流の熱伝達特性の基礎的知見を得るため,一様磁場印加可能な3次元矩形容器を試作し,上下部加熱冷却可能な実験装置を試作した.上部加熱・下部冷却することで重力により対流が誘起されない条件および,下部加熱・上部冷却することで重力により対流が誘起される条件での実験を行い,対流が誘起される条件では磁場印加により熱伝達が向上することが確認できた.また,磁性流体に非磁性体であるアルミナ粒子を5~10Vol.%混合し実験を行った.その結果,磁性流体単相に比べ,アルミナ粒子を混入した場合はヌセルト数が最大で19%向上した.ヌセルト数が増加した理由は,粒子と磁性流体の相互作用により,磁性流体に熱の撹拌効果が生じたためである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MEMS磁気駆動熱輸送装置:内径10mm流路の磁気駆動熱輸送装置を用いて,外部磁場分布を変化させた際の検出流量,顕熱および加熱部の局所熱伝達の調査を行った結果,加熱部への入熱量を増加させるに伴って,熱輸送量の向上を確認することができた.またMEMS磁気駆動熱輸送装置確立に伴う流体温度の算出方法を確立することが可能であったなど最終目的に向けておおむね順調に進展している. 非磁性粒子混入系熱磁気自然対流:一様磁場印加可能な3次元矩形容器を作成し,上下部加熱冷却可能な実験装置を試作し,上部加熱下部冷却することで重力により対流が誘起されない条件,下部加熱上部冷却することで重力により対流が誘起される条件で実験行うことでの磁性流体単相および,非磁性粒子混入系磁性流体の熱伝達特性の調査が終わり,最終目的に向けておおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
MEMS磁気駆動熱輸送装置:平成26年度に確立したマイクロチャンネル内の沸騰二相流伝熱特性の評価方法を用いて,流路径および外部磁場分布を変化させた場合の検出流量,潜熱および加熱部の局所熱伝達を定性的・定量的に調査を行う.最終目標である積層型MEMS磁気駆動熱輸送装置の開発のために,その前段階として,非共沸混合磁性流体が磁場印加矩形流路内を閉ループで循環するMEMS磁気駆動熱輸送装置の試作し,実験を行うことで,表面積の拡大による本熱輸送装置の流動熱伝達特性を明らかにする. 非磁性粒子混入系熱磁気自然対流:昨年度の結果を基に矩形容器内に混入する非磁性粒子の材質を変更し,比重および,熱伝導率の条件を変化させて実験を行い輸送能力向上のための非磁性粒子の材質を選定する.また,非磁性体混入系における磁性流体の熱流動メカニズムを解明するために解析的に調査を行う. 解析手法として,CIP法を用いた有限体積法と固相粒子を表現するために埋め込み境界法を用いて,流速および磁束の連続の式,運動方程式,エネルギー方程式を解くことにより,非磁性体混入系における磁性流体の熱流動解析を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた要因は,今年度に購入予定であった直流電源装置の購入を見送ったためである.マイクロチャンネル内の非共沸混合磁性流体に対する外部磁場の影響について実験的に調査する際,出力レンジが広く安定した定電流の供給を行える直流安定化電源が必要である.しかし,本年度の実験では,重点的に顕熱の調査を行ったので広範囲な出力レンジの直流電源装置が必要ではなかった.そのため現在研究室にある直流電源装置を使用した.以上の理由から次年度使用額に差が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロチャンネル内の非共沸混合磁性流体に対する外部磁場の影響について潜熱に重点を置き実験的に調査する際,出力レンジが広く安定した定電流の供給を行える直流安定化電源が必要となる.以上の理由から,平成27年の研究計画を実施するために直流電源装置の購入に使用することを予定している.
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Research Products
(24 results)