2017 Fiscal Year Research-status Report
機能・知能性流体を用いた次世代エネルギー輸送デバイスの研究開発
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26420126
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山口 博司 同志社大学, 理工学部, 教授 (80191237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須知 成光 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (00347204)
岩本 悠宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30707162)
桑原 拓也 日本工業大学, 工学部, 准教授 (70602407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体工学 / 機能・知能性流体 / 混相流 / 感温性磁性流体 / 熱伝達特性 / MEMS / 自然対流 / VSIAM法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. MEMS磁気駆動熱輸送装置:流路内の非共沸混合磁性流体の流動特性を評価するために,磁石による磁場印加型の閉ループ流路内を非共沸混合磁性流体が循環する装置を用いて,磁性流体の熱回収量と流体駆動流量の計測を行った.また,格子ボルツマン法を用いて,印加磁場分布が磁性流体の流動に与える影響を調査した.格子ボルツマン法を用いた数値解析を行った結果,加熱部で発生した気泡の一部は磁気排除効果により非一様磁場内の低圧領域に拘束され,また,それ以外の気泡は後流へ運動することがわかった.このことから加熱部入口に磁場勾配が最大となるよう磁石を設計すればよいとわかった.また,流体駆動流量の計測結果,非共沸混合磁性流体の最大駆動流量が1.5ml/minを上回ることを確認した.これは磁石による磁場勾配の増加によって,感温磁化特性に起因する磁気体積力が増加したためであると考えられる. 2. 非磁性粒子混入軽熱磁気自然対流:非磁性粒子混入系の自然対流の熱伝達特性の基礎的知見を得るため,一様磁場が印加可能な3次元矩形容器内で磁性流体中に加えるアルミナ粒子の個数および大きさを変更し実験を行った.その結果,流体中に粒子を加えることで粒子の流動が温度場を攪拌する効果と対流を妨げる効果の二つが得られ,両者の大小関係が粒子の体積,追随性,個数によって決定されることがわかった.そして,磁性流体単相の自然対流と比較して,熱伝達特性が最大23%向上することを確認した.また,磁性流体中の粒子運動の可視化を行うために,粒子混入系流体の熱流動現象の数値解析を行った.その結果,粒子を混入することにより,対流モードが熱伝達特性の大きいモードに遷移しやすく,特性のレイリー数の際に,熱伝達特性が向上することがわかった.また多粒子混合系は温度場の攪拌効果の増加より対流の阻害・遮蔽効果が増加するため,熱伝達特性が低下することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. MEMS磁気駆動熱輸送装置:工業的製品への適用を想定した形状の装置を作成し,外部磁場分布,加熱量を変化させるとともに,内部流体の流動制御の有無を変化させ自己循環実験を行った.その結果,磁場形状を変更することにより,1.5倍以上の自己循環流量を得ることができた.これにより除熱密度が大きく向上することが可能となり,最終目標に向けておおむね順調に進展している. 2. 非磁性粒子混入軽熱磁気自然対流:一様磁場が印加可能な3次元矩形容器を用いて,磁性流体中に加えるアルミナ粒子の個数および大きさを変更し実験を行った.その結果,粒子の流動には温度場を攪拌する効果と対流を妨げる二つの効果があり,両者の大小関係は粒子の体積,追随性,個数によって決定されることが確認でき,同体積割合においては,粒子の個数が少ないほど,熱伝達率が向上することがわかった.これにより,粒子数が少ない条件において,熱伝達の向上が期待でき,現状の熱伝達率増加割合23%から目標の35%へ可能性が多いに有することが確認できた.また数値計算により,無磁場下・有磁場下での粒子混入系の自然対流のモード変化まで明らかにすることが可能となり,最終目標に向けておおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
1. MEMS磁気駆動熱輸送装置:非共沸混合磁性流体が磁場印加矩形流路内を閉ループで循環するMEMS磁気駆動輸送装置の実用化を想定し,より小型化した熱輸送装置を試作し熱伝達特性の調査を行う.実験と数値シミュレーションの両方より,磁石形状の最適化および冷却過程の最適化を行う.これにより,最終的にCPUの除熱要求である発熱体表面温度100℃以下かつ発熱密度1000kW/m2以上の熱輸送能力を有する新しい磁性流体を用いた蓄積型MEMS磁気駆動熱輸送装置を構築する. 2. 非磁性粒子混入軽熱磁気自然対流:昨年度に引き続き,矩形容器内に混入する非磁性粒子の粒子径および粒子数を変更し実験を行う.そして,高熱伝導率となる非磁性粒子の粒子径および粒子数の条件を選定する.また,数値解析手法を用いて,容器内により多くの多粒子を混入した場合や磁場の印加による熱伝達率の変化を調査する.そして,最終的に磁性流体内に非磁性粒子を混入させた場合の自然対流熱流動メカニズムの解明を行い,磁性流体単相の自然対流の熱伝達特性より35%以上の向上を目指す.
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