2014 Fiscal Year Research-status Report
化学反応の直観的理解に基づく燃焼技術開発基盤の構築
Project/Area Number |
26420134
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三好 明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60229903)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 燃焼 / 詳細反応機構 / 内燃機関 / 噴霧燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
速度則に基づいて系統的に構築された直鎖アルカンの詳細反応機構を用いて、軽油の着火性の指標として用いられるセタン価を均一混合気の自着火性から説明することを試みた。噴霧時の筒内空気温度700~900 Kにおいて炭素数が7程度以上の直鎖アルカンの当量比1における着火遅れ時間は、炭素数とともに単調に増加するセタン価とは相関せず、炭素数11程度で極小となる。一方で当量比の増加とともに着火遅れ時間が極小となる炭素数は増大し、着火遅れ時間は当量比無限大の極限で冷炎着火遅れ時間に漸近することがわかった。この冷炎着火遅れ時間は炭素数16程度までは炭素数に対して単調に減少する。冷炎着火遅れ時間はジメチルエーテルを含めてセタン価と比較的よく相関していることがわかった。 同じ温度・圧力において当量比を変化した場合は着火遅れ時間は当量比の増大とともに減少するため、噴霧燃焼では最も燃料濃度の濃いところで着火することになるが、これは現実とは異なる。実際の噴霧においては空気よりも温度の低い液体燃料の混合によって、局所当量比の高い混合気は燃料蒸発の潜熱と顕熱によって温度が低下するためである。このため、断熱混合モデルを用いて温度低下の効果を考慮した着火遅れ時間を局所当量比の関数として計算した。その結果、最も着火遅れ時間の短い局所当量比がおよそ1~3の範囲に現れることがわかった。炭化水素の着火の負温度領域を通るためにこの依存性は複雑で、燃料の種類と空気温度に強く依存することが示された。この結果は噴霧燃焼における着火の起こる局所気体に関する新たな知見を与えるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ予定通りに進展した。その過程で次のステップへのヒントも得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果から、断熱混合モデルが不均一燃焼の特性を把握するために重要な手法となりうることが示された。この手法を用いて、さらに予備噴射や後期噴射などの効果の検討への発展が期待される。
|
Causes of Carryover |
当初予定の学会発表が困難となったため、次年度に発表することとしたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に学会発表の出張旅費として使用予定である。
|
Research Products
(5 results)