2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノ流体沸騰伝熱の工業利用に向けた熱伝達率の動的変化とナノ粒子層剥離の現象解明
Project/Area Number |
26420140
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大川 富雄 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20314362)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ流体 / 沸騰熱伝達率 / ナノ粒子層 / 剥離 / 限界熱流束 / 付着強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
水ベースナノ流体の飽和プール沸騰で、伝熱面上に形成されるナノ粒子層の付着強度を実験的に調べた。ナノ粒子の素材は、二酸化チタン、アルミナ、シリカの3種類とし、粒子濃度は0.4kg/m3、伝熱面素材は純銅とした。加熱条件は、熱流束640-650kW/m2で1時間とした。 本実験条件で、伝熱面に付着するナノ粒子の割合は、二酸化チタンで1.5%、アルミナで0.7%、シリカで0.5%であり、アルミナ、シリカと比較して、二酸化チタン粒子でより多量の粒子が付着することがわかった。 付着力の計測は、ピーリングテープを用いて行った。いずれの粒子でも、2N/cm2及び6N/cm2のテープを用いた場合には、剥離量が5%程度以下であったが、12~17N/cm2のテープを用いると、剥離量が20~60%に増加した。これより、本実験条件で10%程度以上の有意なナノ粒子の剥離が生じるのは、10N/cm2程度以上の力が加わった場合と考えられる。なお、最大剥離割合は、アルミナとシリカの20~30%に対して、二酸化チタンでは60%に及んだ。これは、伝熱面上における粒子の積層構造の差異を反映しているものと考えられる。 10%程度以上の有意な粒子剥離が生じた場合、アルミナとシリカでは20~30%程度のCHF低下が生じた。これに対して、二酸化チタンでは、5~10%程度と微量ではあるが、CHFがむしろ向上する結果となった。核沸騰熱伝達率については、二酸化チタンではピーリング試験の後に熱伝達率が向上する傾向であったが、アルミナとシリカでは向上する場合も劣化する場合もあった。これより、ナノ流体による沸騰熱伝達率の変化を正確に予測するという観点ではナノ粒子層の剥離を避けるべきであるが、ナノ粒子層の剥離により必ずしも伝熱性能が劣化するわけではないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ流体中の沸騰熱伝達において、伝熱面上に形成されるナノ粒子層の付着強度を実験的に調べるとともに、ナノ粒子相剥離が生じた場合の沸騰熱伝達率及び限界熱流束の変化を明らかにした。これより、本研究課題は、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子素材以外についても条件を変更して、伝熱面上に形成されるナノ粒子層の付着強度及び粒子層剥離後の熱伝達性能の変化について系統的な知見を得る。
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Research Products
(1 results)