2014 Fiscal Year Research-status Report
石炭燃焼に伴う微量有害金属のPM2.5への濃縮・凝縮機構の解明
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26420163
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 幸彦 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (80262971)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子状浮遊物質 / PM2.5 / 石炭燃焼 / 灰 / 溶融・合体 / 焼結鉱 / コークス / 環境負荷低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
既往のPM生成の研究は,発電所の微粉炭ボイラーの採取灰からの研究や微粉炭ボイラー(粒子的な群燃焼)を想定しての管状炉(DTF:Drop Tube Furnace)での実験など,広い空間において微粉炭が燃焼する場におけるPM生成の研究が主としてなされてきた.しかしながら,焼結鉱の製造過程のような,コークス粉が階層状となす燃焼場におけるPM生成,すなわち,微粉チャーが互いに接する場におけるPM生成に関する研究例は殆どない.そこで本研究では,層状の微粉炭チャーが燃焼する場において,炉内温度(高温~低温),昇温速度,石炭種(灰融点,発熱量,原炭の元素比等)を幅広く変化させた燃焼実験を行い,PM2.5生成に及ぼす諸因子の影響を系統的に抽出した.実験により得られた主たる結果を以下に示す. (1) 炉内温度が上昇するに伴い, PM2.5の生成量は減少する.これは灰粒子の溶融・合体が起こり,大粒子化するためである. (2) 高融点灰(1450℃付近)と低融点灰(1250℃付近)を含有する石炭種で比較した場合,灰粒子の溶融・合体は後者の石炭種において顕著である.しかしながら,高融点灰の含有石炭であっても,チャー燃焼過程での発熱量の増加とともにインクルードミネラルが溶融・凝集固化して灰粒子径が大きくなる傾向がみられる. (3) 昇温速度が増加するに伴い,微小粒子灰が生成しやすくなる.(炉内温度の影響と比較して寄与は小さい.) (4) 元素比H/Cの増加に伴い,PM2.5の生成量は減少する.これは,チャー生成段階において多量のタールにより,近接チャー粒子間での粘結・塊化が起こり,表面燃焼する際に塊内の灰粒子が凝集しやすくなる現象に起因すると考える. 加えて,揮発分中の多環芳香族炭化水素(PAH)を起源とするPM(すす・コーク)についても調査した.(石炭およびバイオマス種について実験した.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャー燃焼からのPM2.5の生成機構を上記の結果の概要のように明らかにできた.
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Strategy for Future Research Activity |
微粉炭燃焼からのPMの生成メカニズムは,本報告の現象に加えて,さらに(1)揮発分中の多環芳香族炭化水素(PAH)を起源とするすす・コークからの経路,および(2)融点の低いNa, Kなどの無機物の蒸発・凝集から生成する経路,の2つが存在する.今回はチャー燃焼から生じる石炭含有灰分からのPM生成に着目したため,揮発分の複雑な発生源を除いて,固体燃焼の発生源のみにPM生成を限定した実験を行った.すなわち,熱分解実験とチャー燃焼実験を分離して,(i) PM生成に及ぼす炉内温度の影響,(ii) 昇温速度の影響(チャーの形成過程における熱分解時の因子の影響),(iii) 炭種の影響(灰融点,発熱量の影響,元素比の影響,混炭の影響等)の諸因子の影響を抽出してきた.今後の課題は、揮発分からのPM発生源について詳細に解明することである.
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