2016 Fiscal Year Research-status Report
石炭燃焼に伴う微量有害金属のPM2.5への濃縮・凝縮機構の解明
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26420163
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 幸彦 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80262971)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子状浮遊物質 / PM2.5 / 石炭燃焼 / 揮発分 / 多環芳香族 / 炭種 / 昇温速度 / 環境負荷低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
微粉炭燃焼からのPMの生成には,揮発分中の多環芳香族炭化水素(PAHs)を起源とする経路が存在する.石炭燃焼あるいは石炭ガス化において,PAHsの主成分および収率を把握することはPM2.5の生成特性を知るために重要である.そこで今年度は、PAHsの成分および収率の予測法を構築するために,GC-MS等を用いて,PAHs生成に及ぼす昇温速度の影響,さらにPAHs生成に及ぼす炭種の影響を明らかにした.以下に実験により得られた結果を示す. (1) 昇温速度の増加に伴いタール液分の収率が増加し,急速昇温時のタールはより多環の構造になる. (2) 3環以上の多環芳香族の成分は,アセナフチレン,フェナントレン,フルオレン等であった.5環以上の成分では,ベンゾピレン,インデノピレン,ディベンゾアントラセン等の成分が主として観測される.(3) 4環以上の多環芳香族炭化水素において,PAHs収率と原炭原子比(H/C)との相関はフェナントレン,アントラセンの液分以外には認められない.これは,PAHsのスート化とPM粒子化に起因すると考えられる.(4) 石炭燃焼の過濃域においてはピレンの多量発生が観測されており,これら多環芳香族成分の増加は,すす,癌化物質およびPMの発生につながっている.(5)上記の石炭研究に加えて,バイオマスの揮発分中の多環芳香族炭化水素(PAHs)を起源とするPMについても研究・調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複雑な現象を含む揮発分由来のPM生成に関する研究が進んだため.(今年度)
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Strategy for Future Research Activity |
微粉炭燃焼からのPMの生成は,本報告内容に加えて,融点の低いNa, Kなどの無機物の蒸発・凝集から生成する経路がさらに存在する.今年度は揮発分中の多環芳香族炭化水素(PAHs)を起源とするPMの生成に着目したため,熱分解に限定した実験を行った.今後の課題は,融点の低いNa, Kなどについて,これら含有率の高いバイオマスも研究領域に入れて解明することである.
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Causes of Carryover |
物品購入が低く留まったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
できるだけ、計画に基づいて予算を使い切る.
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