2014 Fiscal Year Research-status Report
詳細反応機構構築と高時間分解能非接触計測で実現する自己着火液体燃料の着火過程解明
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26420164
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
大門 優 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 開発員 (90415901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 望 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40529046)
林 潤 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70550151)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己着火燃料特性 / 着火過程解明 / 詳細化学反応機構構築 / 液面燃焼現象解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,衛星推進エンジンに使用されている自己着火性液体燃料/酸化剤(モノメチルヒドラジン/四酸化二窒素)の自己着火モデルの提案を行うことを目的としている.自己着火を記述できる詳細化学反応機構の構築,自己着火燃料噴霧燃焼数値解析および検証試験を実施し,非定常燃焼現象理解を通じて自己着火モデルを構築する. 【反応機構構築】名古屋大学菅野助教により詳細化学反応機構の構築が行われた.着火反応で重要となる,燃料からの酸化剤による逐次的水素原子引き抜き反応の反応速度定数を理論解析により決定し,反応モデルを構築した.このモデルにより室温においても自己着火に至る過程が再現可能となった. 【数値解析】申請者により蒸発モデルの検討および実機形状の衝突ガス噴流方式での気体着火性に関して研究が行われた.模擬液における蒸発検証データとの比較により,蒸発モデルの選定が終了した.また,衝突ガス噴流方式での気体着火過程について明らかにし,試験で観察される着火モードを定性的に再現する成功した.今後はガス噴流ではなく,液体噴流についてモデル化を進めていく. 【検証実験】大阪大学林講師により液面燃焼検証試験データの取得が行われた.当初は液滴燃焼の定量データ取得を想定していたが,計測の容易さを優先し,燃料液面に酸化剤を吹き付けることで,一次元的な拡散火炎を液面上に定在させる燃焼試験を実現した.これにより,模擬燃料/酸化剤による検証試験データを取得し,検証試験方法の確立に成功した.得られた検証試験データは一次元数値解析結果と比較されて,良好な一致を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【反応機構構築】計画通り水素引き抜き反応の反応速度定数を決定しただけでなく,詳細化学反応機構を構築することができた. 【数値解析】計画通り蒸発モデルを選定した.さらにガス燃焼ではあるが,衝突噴流方式での着火現象を明らかにした.これは高速積分法の導入により実現できた. 【検証試験】液滴燃焼を液面燃焼にするなど計画変更はあったが早期の変更であったのと,計測が容易になったため計画通り燃焼状態の計測手法を確立した.さらに反応機構構築担当の名古屋大学菅野助教と申請者が協力することで,数値解析結果との比較も実現することができた. 上記のように,化学反応工学,数値流体力学,燃焼工学の専門家が集まることで相乗効果が発揮されたため,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
【反応機構構築】構築した詳細化学反応機構を用い,モノメチルヒドラジン単体や酸素,四酸化二窒素を酸化剤とした混合気に対するゼロ次元着火遅れ時間や一次元予混合,拡散火炎に関する数値計算を行い,反応機構の妥当性の評価を行う.感度解析や反応経路解析によりゼロ,一次元燃焼で重要となる反応経路を明らかにする. 【数値解析】申請者の同僚が開発を進めている噴霧燃焼コードを改良し,衝突噴流方式の流れ場に適用できるよう改良する. 【検証試験】確立した液面燃焼装置における計測手法を用い,試験条件を変化させた計測を実施し検証データを得る.また,得られたデータと詳細化学反応機構を用いた計算の評価を行う.また,噴霧燃焼試験の実施準備のため,インジェクタ設計を行う.
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Causes of Carryover |
往復割引により旅費を抑えることができたため,当初計画から差額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度キックオフミーティングの外勤費として使用予定.
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Research Products
(7 results)