2015 Fiscal Year Research-status Report
大変形を伴う超柔軟構造を持つ動的システムの新しい解析手法の構築と実験的検証
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26420165
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 佳城 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10422320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 信之 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70276020) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 柔軟構造物 / テザー衛星 / 運動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は多質点の1次元運動に関する定式化および実験検証を行ったが,実験結果について不明な部分や再検証が必要な点があり,平成27年度に再実験を行うことで提案手法によって得られた解析結果と実験結果の比較による提案手法の有効性の確認とその差異ついての物理的な考察を行った. また,平成26年度にほぼ完了していた1質点および多質点系の2次元運動の定式化では,対象システムの柔軟構造部に張力がかかった状態の運動の解析を行う際に計算時間がかかり計算性が悪化する問題があった.そこで,この点について座標変換を用いることで計算性を改善できる可能性に注目し提案手法に組み込むことを試みた.その結果として計算性の改善については十分とは言えないものの,ある程度の成果を得ることができた.平成26年度および27年度においては1質点および多質点系の両者の3次元運動への定式化の拡張が含まれているが,3次元運動への拡張はまだ行っていない.この度の2次元運動における問題は定式化手法を3次元運動に拡張する場合にも発生する問題であり,3次元運動への拡張における問題の一部も改善できる結果であると言え,前述のような2次元運動への拡張において発生した問題の解決を優先してきており,これらの結果を用いて今後3次元運動への拡張を進める. 平成27年度に予定していた多質点系の2次元運動に対する実験検証について,実験装置の設計やプロトタイプの製作は完了しているが,有効な実験検証のためにまだ改良点がいくつかあるため,そのための設計変更を進めている. 平成26年度において提案した多質量系の1次元運動の解析手法はテザーなどの構造をもつ宇宙機の解析に有用であるが,解析例の観察から提案手法がテザー衛星の効率的展開の設計に役立つことが明らかになり,応用として数値解析によるテザー衛星の設計手法の提案を行い,興味深い結果を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案手法の2次元運動への拡張時に計算性の悪化に関する問題が発生し,それを解決するためにさまざまな試みを行った.その問題は3次元運動に拡張する際にも発生する問題であるため,丁寧に対応することが今後の3次元運動への拡張において有益な結果となることから,3次元運動への拡張を一時保留したためである. また,多質点系の2次元運動の実験検証を予定していたが,重力下での実験でありその結果として発生する摩擦の影響を低減するために,質量部を空気浮上させている.それにより質量部が比較的大きな体積を有するため,多質点からなるシステムを構成すると運動可能な領域が限られてしまい,十分な実験ができないことになる.一方,小型化を試みても,各質点部の転倒モーメントが低下し運動時に容易に倒れてしまう問題があった.プロトタイプは製作し,その機能については確認しているものの,有益な実験を行うために転倒モーメントと運動可能領域を考慮しながら設計変更を繰り返しており,その結果としてその実験装置を用いた実験検証には至っていない. また,研究実績でも触れたように,提案手法の応用としてテザー衛星の設計の最適化に用いることができることが新たな可能性として明らかになり,その有用性を考慮すると早急に研究を進めるべきと判断したたため,その分に費やす時間が増えたことが上記の遅れの理由の一つになっているとも考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
多質点系の2次元運動についてはまだ実験検証が終わっていないため,設計変更を速やかに終了して,実験検証を行う. 提案定式化手法についての3次元運動への拡張ついてはまだ進めていないが,1質点系について拡張を進めその実験検証を行う.多質点系についても実施する予定であったが,多質点系の2次元運動を考慮した結果,多質点を3次元運動に拡張することの学問的な広がりは小さく,次元拡張により計算過程が増えるのみである.それゆえ,多質点系の3次元運動については優先度を下げて研究を進める.この優先度の変更により,こえまでの遅れと以降に記すあらたな項目を実施できる見込みである. また,テザー衛星の設計最適化については,提案手法の応用先として非常に有用であるため,当初予定の解析例の構築や実験検証に組み込むことで,引き続き研究を進めていく予定である. 平成28年度は質量を質点としてではなく剛体として取り扱った場合の定式化への拡張を行う予定であり,前述のように3次元多質点系については優先度を下げたたため,まずは1剛体の2次元運動を基本的な対象として剛体を考慮した定式化を構築し,その後に得られた結果を用いて,剛体考慮の定式化を多剛体の2次元運動および1剛体の3次元運動に対して拡張する.また実験検証に関して,2次元運動については現在設計変更を繰り返している実験装置を剛体運動の検証に拡張できるように設計しているため,現在の装置完成に伴い容易に実験検証が可能である.また,1剛体の3次元運動については比較的大きな体積を持った球体等に紐を取り付けて運動を行わせることで実験が可能であり,計測についても剛体表面につけた複数マーカにより運動解析が可能であることから,大きな問題が発生せずに実施可能と考えられる.
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Research Products
(3 results)