2014 Fiscal Year Research-status Report
排熱回収用ボイラにおける気柱共鳴現象の新しい高精度発生予測法の構築
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26420178
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
濱川 洋充 大分大学, 工学部, 教授 (30243893)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流体関連振動・騒音 / 音響共鳴現象 / 渦 / 管群 / フィン / 音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
発電所の排熱回収用ボイラなどの熱交換器では,試運転時に気柱共鳴現象が発生し,振動と騒音が問題になることがある.本研究は,本現象の発生に及ぼすフィンの効果を解明し,正確な発生予測設計法を構築することを目的とする.本年度は,様々なフィン形状のフィン付き単独円柱および複数円柱から発生する渦放出音の特性の解明と気柱共鳴励起エネルギーの評価,多孔質モデルよるモデル化の有用性の検討,セレイティッドフィンを模擬した円柱群の音響減衰特性の実験的解明を行った.その結果,以下の結論を得た. (1)直交流中のフィン付き円柱から発生する空力音の音圧レベルは,フィンの幾何形状によって変化する.この大きさは主に円柱後方に形成されるカルマン渦のスパン方向相関長さに依存する.(2)渦放出音の音源はフィン間の円柱部のはく離点付近にある.隣接するフィン間で形成される渦同士の回転軸と位相は一致しており,フィンのピッチよりも渦のスパン方向の相関長さは大きくなる.ソリッドフィンの場合にはピッチが小さいほどこの傾向が強い.(3)レイノルズ数が約10^5のとき,フィンピッチ比が0.8以下では,等価直径と主流速度を用いたストローハル数は0.18~0.20となる.フィン付き円柱からの渦放出周波数は等価直径を用いれば裸管と同様に予測できる.(4)隙間から微小噴流が発生するフィンを模擬した密な円柱群は,ある周波数で吸音率が増加する.(5)多孔質モデルを用いてフィン付き円柱周りの2次元定常流れを定性的に再現することができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,(1)フィン付き管群からの渦放出音特性の解明と気柱共鳴励起エネルギーの評価,(2)フィン形状に対する流れの透過特性の解明,(3)音響減衰特性に及ぼすフィンの影響評価,(4)渦放出音と音響減衰特性の等価直径への組み込み,を行う計画であった.(1)については,気柱共鳴現象の励起源となるフィン付き円柱から発生する渦放出音を様々なフィン形状に対して実験的に定量評価した.さらに,フィン付き管群を簡略化した2円柱と3円柱からの干渉音の特性を定量的に評価した.(2)については,フィン付き円柱周りの流れを多孔質モデルを用いてモデル化し,2次元定常流れを定性的に再現できることを明らかにした.さらに,フィン付き円柱の3次元の流れ解析を行い,音源と渦のスパン方向相関長増加のメカニズムを解明した.(3)については,セレイティッドフィンを模擬した円柱群が吸音効果を有することを実験的に明らかにした.(4)については,上述の結果を用いて等価直径への組み込み方法について検討を行った.以上のように,全ての項目でほぼ当初の計画のとおりに研究が進展していることから,「おおむね順調に進展している」の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究がおおむね順調に進展していることから,研究計画の変更はない.今年度は,フィン付き管群の各共鳴モードの音響減衰特性の解明と減衰量の定量評価を行うとともに,これまでの結果を踏まえ,共鳴励起エネルギーと音響減衰量の評価マップを作成する.これらの結果を合わせて気柱共鳴現象の発生予測法の構築と検証およびその見直しを行う.
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に進展しており,研究計画の変更はないが,物品費および旅費ともにわずかな残金が生じたため,次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究はおおむね順調に進展しており,研究計画の変更はない。物品費および旅費として使用する。
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