2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420185
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 恵輔 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50242821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70273258)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 振動制御 / 往復振動系 / ダイナミックダンパ / スイッチング / シミュレーション / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,ピエゾ素子を用いたスイッチングシャントダンピングに関する詳細をまとめて国際会議での発表の準備をするとともに,メカニカルスイッチングダイナミックダンパ(MSDD)の制振性能を予測するためのシミュレーションを行い,実験装置の製作に取りかかった. MSDDのシミュレーションに関しては,まずモデル化について検討した.ここでは,制振対象としてばねおよび質量でモデル化される1自由度系を取り上げ,これにばねとダンパを介してクラッチを結合したモデルを考えた.クラッチでは質量の付加と切り離しを行うため,クラッチは二つの質量からなり,それらの間に摩擦力が作用する状態と作用しない状態が切り替えられるとして,シミュレーションモデルに組み込んだ.質量の付加と切り離しは,クラッチの受側部に対応する質量の変位に基づいて行うこととし,この変位があるしきい値を越えたときに質量が付加され,そうでない場合には質量は切り離された状態にあるとした.系のパラメータをいろいろ変えてシミュレーションを行ったところ,クラッチを接続するばねのばね定数やダンパの減衰係数,付加する質量,質量の付加と切り離しを行う際のしきい値を適切に取れば,通常のダイナミックダンパよりも良好な制振性能が得られることが分かった.これは申請者がこれまでに行ってきた,ピエゾ素子を用いたスイッチングシャントダンピングと同様な傾向であった. 実験装置の製作では,まずクラッチの製作に取り組んだ.クラッチは円錐クラッチとすることとし,質量の付加と切り離しは積層型ピエゾアクチュエータを用いて行うこととした.材料およびピエゾアクチュエータは購入したが,クラッチ製作は初めての取り組みということもあって実験装置の製作に手間取り,まだ完成には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,平成26年度はシミュレーションによる検討と実験の準備を行う予定であった.シミュレーションについては概ね計画どおりに進めることができた.実験装置の製作については,初めは当初の計画どおり今年度は加振台および制振対象の装置の製作を行う予定で加振器の購入を行ったが,質量の付加と切り離しのためのメカニズムを再検討する過程で当初の計画を若干変更した.当初の計画では質量の付加と切り離しは電磁石を用いて行うことを考えていたが,全体の質量のバランスと,付加および切り離しのしやすさを考慮してピエゾアクチュエータを利用したクラッチ機構を用いることとした.このように質量の付加と切り離しの機構を再検討したことおよびこれに伴い装置全体の設計を修正したこともあって,現在,試作品の完成まであと少しという状況にある.上記の理由で,当初の計画に比べてわずかではあるが遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度を考慮し,平成27年度は,まず,実験装置の完成に重点を置く.上述のように,現在,クラッチの試作品の完成まであと少しの状況にある.これをなるべく早めに完成させるようにし,問題点を洗い出して,本来のMSDDの性能確認のための実験装置を製作する.これと並行して,平成26年度に行ったシミュレーションを詳細に検討し,ここまでのシミュレーション結果および実験結果をまとめたいと考えている.さらに,当初の計画のように,回転軸系に対するMSDDについて,研究分担者と協力しながら基礎的な検討を進める予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,当初計上していた旅費および分担者への分担金の支出がなかったことが原因である.旅費の支出がなかった理由は,研究代表者が当初計画していた学会発表が,学内業務のためにできなかったことによる.分担者への分担金については,分担者から平成27年度分と併せて使用したいという希望があったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由に掲げた事項のうち,分担者の分担金については上述のとおりであり,平成26年度および27年度を併せて,当初の計画に沿った使用となると考えている.その他については,これまでの研究成果および今後の研究の推進方策で述べたように,クラッチ機構を中心に若干当初の計画と異なっている実験装置の製作を進めることで,使用する予定である.
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Research Products
(1 results)