2015 Fiscal Year Research-status Report
制振性能とエネルギ消費との最適バランスを追求した鉄道車両の制御系設計
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26420186
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
不破 勝彦 大同大学, 情報学部, 教授 (70324481)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 振動制御 / 固有空間 / 出力零化制御 / 最適化 / 強安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究目的「鉄道車両の良好な乗り心地とエネルギ消費を低減する振動抑制制御系の構築」に対して、最適化空間の構築のための制御則の導出および実現アルゴリズムの開発、実験装置の製作について研究を進めた。具体的な研究内容およびその実績について、以下記述する。 1.最適化空間の構築のための制御則の導出…昨年度の研究から制御ループ内に安定なフィルタを存在させる必要があり、強安定化制御問題として定式化を行ない、デュアルオブザーバを用いて制御器を実現し、制御器の極が配置できるための条件を制御対象の係数行列により与えることができた。 2.実現アルゴリズムの開発…上記1.における制御器の実現にあたり、閉ループ極と制御器の極を同時に安定化する問題を、連立線形行列不等式の可解問題として定式化し、その解法も含めた制御器実現のためのアルゴリズムを開発した。 3.実験装置の製作と予備実験…鉄道車両を模擬した柔軟物体の支持系を製作し、前輪と後輪の位置に小型加振システムを、さらに振動の検出用に加速度センサを、おのおの取り付けた。予備実験として、後輪に対してマッチング条件を満足する外乱を与え、制御ループ故障が発生しても制御性能が劣化しないことが確認され、強安定化制御の効果を実証することに成功した。また、出力零化制御の検証に対して、前輪位置と後輪位置に、線路の繋ぎ目を通過する際に発生する外因性信号を時間差で与えて数値実験を行なったところ、制振効果を確認することができた。ただし、数値検証しかできておらず、実験での検証が課題として残った。この課題の解決に向けて、フィルタの高次数化を検討している。なお、平成28年3月、強安定化制御については電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会特集号に、前輪・後輪の繋ぎ目に伴う制振制御については計測自動制御学会中部支部教育工学論文集に、おのおの投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
つぎの2つがその理由である。 1.強安定化制御器の極を決定するにあたり時間を費やしたため:簡単な予備実験で強安定化制御の効果を実験的に評価することを試みようとしたが、強安定化しない場合における制御器の極が存在するパラメータ領域が狭く、その領域の中で評価可能な極を見積もることに時間を費やした。 2.前輪・後輪の繋ぎ目に伴う制振制御実験による評価に時間を費やしたため:予想以上にモデル化誤差が制御性能に影響を与えた。昨年度、モデル化誤差を補償するため、ハイゲインフィードバックによるロバスト性を考慮した出力零化制御法を構築したが、小型加振システムの入力飽和のため、十分な制振効果を得る制御器を見積もることに時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、実験装置(上下方向および左右方向の振動システム)の完成、モデル化、制御器設計を行なうことである。これらは、研究実施計画として報告している項目であるが、平成27年度の研究実績から新たな問題として、フィルタの次数に対して自由度を与える設計問題を設定し、予備実験による検証を実施したい。平成26年度に最適化空間の構築と制御則の導出を行なったが、フィルタの次数は固定されていた。モデル化誤差によるロバスト性を補強するため、フィルタの高次数化を実現し、自由度を持たせた設計法を構築する。具体的には、連立高次方程式として定式化し、その解を求めることでフィルタの高次数化を検討する。
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Research Products
(11 results)