2014 Fiscal Year Research-status Report
柔軟性と力学的干渉を活用した多リンクマニピュレータの省エネルギー軌道計画法の確立
Project/Area Number |
26420188
|
Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
阿部 晶 旭川工業高等専門学校, システム制御情報工学科, 教授 (30313729)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | フレキシブルマニピュレータ / 振動制御 / 省エネルギー / 軌道計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複数のフレキシブルリンクから構成されるマニピュレータシステムのPoint-To-Point (PTP) 制御問題に関する研究を実施し,省エネルギー化への新たな駆動法を探求することを目的としている.平成26年度の研究実績は以下のとおりである. はじめに,1つのモータハブに2つのフレキシブルリンクが搭載されたフレキシブルデュアルマニピュレータシステムのPTP制御問題を扱った.ここで,位置決め後の残留振動抑制のための新たな軌道生成法を提案し,シミュレーションおよび実験結果から提案手法の有効性を検証した.また,この提案手法を1リンクフレキシブルマニピュレータの高速位置決め制御にも適用し,1次と2次振動モードの残留振動抑制が両立できることを実証した.以上により,1つのアクチュエータから2つの振動モードの抑制,すなわち,多モード制振のための軌道生成法の確立がなされた. 提案手法の特長は,数少ないパラメータチューニングから,滑らかなマニピュレータの軌道が生成される点である.この滑らかさはマニピュレータの消費エネルギー抑制に効果的であると考えられる.そこで,この軌道生成法を1リンクフレキシブルマニピュレータと柔軟リンクに搭載されたロボットアームの位置決め制御の省エネルギー軌道計画法に適用した.そして,シミュレーションから提案手法は従来手法よりも省エネルギー効果が図られることを明らかにした. さらには,この軌道生成法を用いて,柔軟ベースに搭載された柔軟アームのフードフォワード振動制御を試みた.そして,ベースの柔軟性が柔軟アームの駆動エネルギーに及ぼす影響を数値シミュレーションから考察した.これより,柔軟アームを剛体支持するよりも,柔軟性をもたせた方がアームの駆動エネルギーを抑制でき,省エネルギー化が図られる可能性があることを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マニピュレータの関節角軌道を,時間に関するべき級数を入力としたサイクロイド関数で表現した新たな軌道生成法を提案し,フレキシブルリンクから構成される機械システムにおいて,多モード制振ならびにさらなる省エネルギー化が図られることを明らかにした.さらには,柔軟ベースに搭載された柔軟アームのPTP制御問題を扱い,柔軟アームを剛体支持するよりも,柔軟性をもたせた方がアームの駆動エネルギーを抑制できることも明らかにした.この結果は非常に興味深く,複数のフレキシブルリンクから構成されるマニピュレータにおいて,飛躍的に省エネルギー化が図られる可能性があることを示唆している.また,研究実績の概要に記載されていないが,2リンクフレキシブルマニピュレータの実験装置の開発も実施しており,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,複数のフレキシブルリンクから構成されるマニピュレータの新たな省エネルギー駆動法への知見を得ることを目的とし,以下の研究を実施する. 今年度に引き続き,柔軟ベースに搭載された柔軟アームのPTP制御問題を扱い,ベースの柔軟性がアームの駆動エネルギーに及ぼす影響を詳細に調べる.ここで,柔軟ベースの柔軟アーム固有振動数の関係,アームの位置決め時間等をパラメータとして,省エネルギー化の仕組み,その原理を探求する. また,今年度に開発した2リンクフレキシブルマニピュレータの実験装置の数学モデルを,理論解析ならびにモデル実験から導出する.そして,今年度に提案した軌道生成法を適用し,2リンクフレキシブルマニピュレータのフィードフォワード制御を試みる.
|
Causes of Carryover |
差引額は1円であり,平成26年度の収支状況は妥当であると思われる.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
差引額は1円であり,今後の使用計画に何ら問題はない.
|