2014 Fiscal Year Research-status Report
手首が柔らかい4本指ハンドを備えた6脚作業移動ロボットの開発
Project/Area Number |
26420193
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
井上 健司 山形大学, 理工学研究科, 教授 (40203228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 6脚ロボット / 多指ハンド / 歩行 / マニピュレーション / ワイヤ駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脚の一部を腕に転用することで、脚による高い移動能力と腕による汎用的な作業能力を発揮する6脚作業移動ロボットのすべての脚先に、手首が柔らかい4本指ハンドを取り付けた新しいロボットを開発することである。本年度の研究成果は、以下の通りである。 1.脚先にハンドを取り付ければ、物体や構造物を掴むことができ、ロボットの作業能力・移動能力は向上する。ただし、物体を掴んだときや接地したときの過負荷を避けるため、手首、すなわち脚先とハンドの間は柔らかくしなければならない。一方で、精密な動きを実現するには、柔らかさによる手首の変形が過大にならないことも要求される。以上の観点に基づき、柔らかい手首を有する4本指ハンドを設計・製作した。このハンドは、4本の指が1個のモータで一斉に放射状に開閉する構造で、モータをボディに設置し、指とモータの間をワイヤで連結する。モータでワイヤを引っ張ると指が一斉に閉じ、緩めるとバネの力で開く。指の長さと開閉量は、飲料缶や梯子の踏桟が掴めるように、ヒトの指の長さを参考にして決定した。把持物体の形状になじませるため、指の腹側には柔軟素材を付けた。手首には、リング状のゴムを用い、縦横のずれ、曲げ、ねじりを可能にした。さらに、ゴムの内部にストッパ構造を作り、手首の変形が一定範囲内に収まるようにした。製作に3Dプリンタを用いることで、複雑な構造を軽く作ることができた。ワイヤ駆動による指の開閉のロスや応答性、手首の変形量について実験し、良好な結果を得た。 2.既に開発したロボットに対して、大きさ・脚長・強度を改良した新しい6脚作業移動ロボットを設計・製作した。実験により、新しいロボットの移動機能・作業機能に問題ないことを確認した。また、移動や作業の遠隔操作を容易にするため、ジェスチャによるインタフェースを実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最重要課題は、柔らかい手首を有する4本指ハンドの開発であり、試作・実験を繰り返した結果、計画していた性能を有するハンドを製作することができた。同時に、新しい6脚作業移動ロボットの設計・製作も行った。ハンドとハンド用モータをロボットに搭載するまでには至っていないが、設計は終了しているので、次年度初めには完成すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に開発したロボットとハンドを組みあわせて、手首が柔らかい4本指ハンドを備えた6脚作業移動ロボットを完成させる。手首の柔らかさと放射状に開閉する4本指ハンドの特徴を生かした以下の作業能力・移動能力を開発し、実験により評価する。①4本指で包み込むように小物体を把持する。②長尺物体を片手または両手で把持する。③凸凹した不整地急斜面を掴みながら移動する。④梯子などの構造物を掴みながら移動する。⑤構造物に4脚でぶら下がり2腕で作業する。⑥指を開いた状態で安定に着地し直立姿勢で4脚歩行する。 ハンドの把持力は、モータの持つ力検出機能とコントローラのゲイン調整により制御する。手首の柔らかさにより生じる位置誤差が問題となる場合には、位置誤差を検出するセンサを手首に内蔵し、制御により誤差を補正する。 開発したロボットの応用として、超音波探傷器のプローブを4本指ハンドで把持し、構造物の非破壊検査を行う。ロボットの高い移動能力を生かして狭い空間・凹凸のある空間に進入し、手首の柔らかさを利用してプローブを構造物に柔らかく接触させる。この方法は、既存のプローブを使うためコストが抑えられ、他の検査機器への応用も期待できる。
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