2015 Fiscal Year Research-status Report
抜歯後の血管新生から歯槽骨再生に至る現象の数値シミュレーションの研究
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26420202
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
永山 勝也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70363398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Numerical Simulation / Alveolar Bone / Regeneration / Angiogenesis |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント治療の研究には、血管新生に伴う栄養供給の増加による歯槽骨再生が必要とされているが、骨形成の評価は実験に頼り、解析で予測はされていない。本研究の全体構想は、周囲の歯槽骨形成の程度を予測し、可視化する数値シミュレーションの構築である。 手順は、先ず解析の基本モデルの構築し、次に抜歯後からの幼弱骨形成に適用し、更に今後幼弱骨から骨梁形成に至るまでを解析して一連の解析モデルが完成する。 先ず、血管新生から歯槽骨再生に至る一連の解析モデルの構築を実施した。詳しくは血管新生→Ca輸送・拡散+応力解析→骨生成までの一連の現象を相互作用も加味したモデルの構築である。従来の応力と骨生成の解析に加え、抜歯直後からの血管新生まで遡ってモデル化した。手法は複雑現象も扱える粒子モデルを用いた。先ず血管粒子は、分岐と伸長により、血管新生を表現する。次に血管粒子からのCa輸送を拡散方程式でモデル化した。また骨の応力解析も粒子モデルで構築した。そして、血管からはCaが骨へ拡散輸送され、また骨粒子に働く応力解析と合わせた複合要因で、骨は形成されるモデルとした。 次に構築したモデルを用い、抜歯後から約30日までの幼弱骨形成までの、血管新生と骨生成の盛んな状況までのモデル化と解析を行い、実験写真と比較・検証した。 今後は、幼弱骨形成約30日後から骨梁形成までの約90日までの、血管退縮と骨梁形成に至るまでの解析を行う。本研究により将来、血管新生から歯槽骨再生までの一連の現象の数値シミュレーションの構築によって、インプラント治療の質の向上が期待できる。また骨と血管の関係を含むバイオメカニクスの適応領域の拡大にも貢献できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年は、血管新生→Ca輸送・拡散+応力解析→骨生成までの一連の現象を相互作用も加味したモデルの構築を行った。順番に先ず、血管新生→Ca輸送・拡散のモデルは、血管は粒子表現で、Ca輸送は格子表現を組み合わせることで構築できた。応力解析は、有限要素法などでは確立しているが、本粒子モデルでも、非圧縮性とポアソン比0.5という条件のもとで構築できた。骨生成も、初期に骨繊維をランダム配置しCaが堆積するモデルとし、ポーラス状の幼弱骨構造を計算で得ることができた。以上一連の解析モデルは構築できH26年の成果は国際学会で4件速報した。 H27年度は予定通り、血管新生と骨生成の盛んな状況までの数値シミュレーションを実施し、実験と比較した。血管付近には流れにより骨は付着しない(フォルクスマン管)の仮定と、応力は徐々に増加するという仮定(急すぎると骨が破壊する、弱すぎると骨がつながらない)を設け、幼弱骨形成が表現できるようになった。血管と骨の分布を実験の写真と比較し、血管や骨とその隙間の分布を比べ、それらの特徴を数値解析結果は良く表現できていること、また定量的にその割合もほぼ一致していた。H27年は、査読付き国際会議論文1件、国内学会1件で成果を報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年の目標は、幼弱骨形成約30日後から骨梁形成までの約90日までの、血管退縮と骨梁形成に至るまでの解析を行う。幼弱骨生成後、骨は太くなって骨梁を形成し、不要になった血管は減少するなど、リモデリングされ状態は最適化される。この最適化現象までも解析することで、抜歯後からの血管新生から骨再生までを網羅したモデルを完成させる。
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Causes of Carryover |
学会費用は、英文添削で使用したが、旅費は他の予算でまかなった。計算も当該年度では他の計算機に空きが生じて実施できたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表と論文化を更にすすめ(学会費用、英文添削、論文費用)、最新の専用計算機も導入し研究を推進する。
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