2014 Fiscal Year Research-status Report
圧電PZT薄膜の超多層積層成膜およびMEMSデバイスへの応用
Project/Area Number |
26420204
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
神田 健介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20446735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前中 一介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70173721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | チタン酸ジルコン酸鉛 / 薄膜 / 多層積層 / MEMS / アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)薄膜と金属薄膜をシリコン基板上において交互に超多層積層し、MEMS(微小電気機械システム)プロセス技術と組み合わせることによって、ハイスループット・極めて高機能なアクチュエータを創出することを目的としている。初年度は、これまでに実現している2層積層PZTの厚膜化および特性評価を基礎とし、多層成膜を試みた。まず2層積層について、成膜温度、薄膜厚、下地・中間電極の厚さなどに着目し、成膜結果との因果関係について評価を行った。また、成膜後の分極処理やアニール処理の影響・効果についても評価を行った結果、最適条件で各層の特性がそろった良好な圧電薄膜が得られていることが確認できた(Journal of Microeng. Micromech. 25 055001 (2015))。この知見を応用した多層成膜では、単層厚さ2.3umで4層および6層のPZT薄膜を4インチシリコンウエハ上に形成した。評価のため、これらの多層PZTのみで自立する片持ちはりを、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを中心としたMEMSプロセスにより試作した。電流電圧特性や分極電界特性、駆動試験などの各種評価結果より、これらの薄膜は全ての層が一致した良好な圧電特性を有し、かつ大きなリークも無いことが確認できた。また、4層のアクチュエータでは各単層駆動の変位の和として変位が得られることが確認できた。変位から逆算すると、電圧あたり極めて大きな発生力が得られることが分かり、これを活かしたMEMSデバイスの試作を今後実施していく予定である。なお、6層成膜では薄膜中の残留応力が大きくなったために基板との密着性に問題があることが分かった。これについても対策を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初より有していた2層PZT薄膜の積層技術についての知見が、予想を超えて多層積層に対して有用であったため、27年度に実施する予定であった多層成膜を1年前倒しで達成することができた。なお、成膜の自動化のための装置改造を当初予定していたが、膜が薄くなると良好な特性が得られないことが分かり、現段階では積層数については達成した4~6層以上を考えていない。より薄い膜における成膜条件については別途検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定よりも早く多層成膜を実現できたので、これを利用したMEMS応用を行い、この有用性を確認していく予定である。また、得られた成果の積極的な発信を行うつもりである。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が33円多いのは、初年度の残端数である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
33円は端数であるため、使用計画についての変更はない。
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