2015 Fiscal Year Research-status Report
多サンプル測定マイクロチップを用いたユビキタス・検査システムの創製
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26420207
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 忠大 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10340605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 光雄 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40220347)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アレルゲンタンパク質 / ELISA / マイクロ化学チップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,【目標1】シングル流路にて多サンプル測定できるマイクロチップの開発,【目標2】ELISA法を簡単な手動操作で実施できる空気圧駆動順次送液システムの開発,の目標に対し,【研究項目1】マイクロ反応場におけるアレルゲンタンパク質の確実な固定化,【研究項目2】検出感度の最小値,【研究項目3】空気圧駆動による順次送液システムの開発,を設定し,これに基づき実施している. 【研究項目1】については,26年度に,φ1mmに加工して定量したアレルゲンタンパク質を固定化したニトロセルロース膜をマルチレイヤリゾグラフィによりハイブリッドすることにより多サンプル測定ELISAチップを開発してきた.本チップを用いた検証実験の結果,チップ内においても1次抗体量が定量的に変化することと,複数のアレルゲンタンパク質の中からコンタミネーションなく検出できることを実証した.しかし,想定通りに反応場内を試薬が流れてないことがあり非特異的な反応が発生する問題があった.そこで,反応場の構造を検証し,ニトロセルロース膜の両面を試薬が流れるELISAチップを作製し,非特異的な反応を防止できる知見が得えれた. 【研究項目2】については,1次抗体量50ng以上,2次抗体量50ng以上のときにマクロな系での発色と同程度の発色が得られることと,抗体量により発色の輝度が定量的に変化することを実証した.さらに,チップ内の試薬を震盪することにより,検査時間の全工程を35分に短縮することに成功した. 【研究項目3】については,空気圧駆動による順次送液するいくつかモジュラーチップを試作して,順次送液のデモを実施した.今後,試作できていない他の流体チップを試作して,システム化していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は,マイクロ反応場に抗原(アレルゲンタンパク質)を固定化し,シングル流路にて多サンプル測定できるマイクロチップとELISA法を簡単な手動操作で実施できる空気圧駆動順次送液システムを開発することである. 平成26、27年度の成果から,チップ内のマイクロ反応場において定量したアレルゲンタンパク質の固定化に成功し,シングル流路において8個所の反応場にて4種類のアレルゲンタンパク質をコンタミネーションなく検出できることを実証している.しかし,非特異的な反応がでることがあり改善が必要であるが,原因の特定ができており改善できると考えている.また,検出感度の最小化および検出時間の短縮化も順調に進んでいる.ただ,空気圧駆動順次送液システムのための基盤チップ群を組み合わせたシステム化に課題はあるものの,実証実験により課題が明確にでき改善が進んでいる.このことから,研究の目的を順調に推進できている.
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Strategy for Future Research Activity |
【研究項目1】マイクロ反応場におけるアレルゲンタンパク質の確実な固定化,【研究項目2】検出感度の最小値,【研究項目3】空気圧駆動による順次送液システムの開発,の研究実施計画について,それぞれ研究推進方策を示す. 【研究項目1】は,想定通りに反応場内を試薬が流れてないことがあり非特異的な反応が発生する問題がある.反応場の構造を改良することによりこれを改善し,歩留まり良くチップ内での抗原抗体反応が実施できるようにする.また,検査できるアレルゲンタンパク質を4種類よりも増やたELISAチップを開発していく. 【研究項目2】は,抗原量(アレルゲンタンパク質)50ng(=100ng/μLx0.5μL),一次抗体(血液)50ng(=100ng/μLx0.5μL),二次抗体50ng(=100ng/μLx0.5μL)にてチップ内での抗原抗体反応に成功しており,検出感度の最小化については概ね実現できている. 【研究項目3】は,空気圧駆動順次送液システムのための基盤チップ群について開発を行っており,1部を組み合わせて順次送液システムの実証実験を実施しているが,いくつかの課題が明確になってきている.今後は,これらの改善を進めていく.
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Causes of Carryover |
論文投稿を予定していたが,データ取得のための再実験などを繰り返し,執筆が間に合わず年度内の投稿ができなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文の掲載料に使用する.
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Research Products
(2 results)