2014 Fiscal Year Research-status Report
伝統工芸「有松・鳴海絞り」における括り作業ロボットの実用化研究
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26420218
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
西堀 賢司 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (50115614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 主勲 大同大学, 工学部, 准教授 (50456167)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 伝統工芸 / 絞り染め / ロボット / アクチュエータ / 括り作業 / シミュレーション / 樹脂キャップ / 自動化 |
Outline of Annual Research Achievements |
有松・鳴海絞りの括り作業において,従来の糸の代わりに入口と出口で内径の異なる円筒形の絞り具(樹脂キャップ)を用いる方法を継承した.布にキャップを装着する電動式絞りロボットの小型化と絞り染めを体験できる手動式簡易型キャップ装着機の開発を行った. 電動式の絞りロボットでは,これまでの市販の6軸ロボットを用いたものから小型化するため,2個のロボシリンダを選定し,布にキャップを装着するニードルとキャップカートリッジの移動のための設計と試作を行った.キャップのカートリッジは直線型にすると最後の戻りに時間を要するため回転式を採用し,連続して20個のキャップが装着できるようにした.制御部にArduinoマイコンを使用し,安価で操作性に優れたインタフェースを構築した.キャップを布に装着する実験では,これまでの6軸ロボットによるキャップ装着とほぼ同等であることが確認できた. 手動式の簡易型絞りロボットでは,3Dプリンタによる樹脂製の移動機構を試作した.部品点数の削減と加工の容易さを考慮した設計を行った.ハンドルを下に押すとニードルが下がり,ニードルが布をキャップに押し込むことによりキャップの装着ができる.キャップカートリッジを手で回すことにより10個のキャップが連続して布に装着できるようにした.キャップに布を押し込むニードルの耐久性の確認のため,有限要素法を用いたシミュレーションを行った. 研究成果として,日本機械学会東海支部講演会および計算力学講演会にて論文発表3件を行った.また,絞りロボットの試作機を愛・地球博10周年記念事業/瀬戸蔵ロボット博2015等のイベントに出展し,実演と操作体験から改良点を洗い出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)電動式絞りロボットでは,ニードルの移動用に直動型のアクチュエータを,キャップカートリッジの回転用にロータリー式のアクチュエータを用いて設計・試作した. (2)簡易型絞りロボットでは,ハンドルを押すとニードルが下がり,布にキャップが装着されることを確かめた. (3)布へのキャップ装着が市販の6軸ロボットを用いたものと同等であることが確認できた. (4)キャップ装着が連続してできるようにカートリッジを採用した. (5)有限要素法を用いたシミュレーションによりニードルの耐久性を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
電動式絞りロボットでは,さらに小型化と軽量化を行う.キャップカートリッジの脱着が容易にできるような機構に改良する.キャップカートリッジに装填するキャップの上下を間違えるとキャップの装着が失敗するため,外部カメラを用いた画像処理によってキャップの装填ミスを無くすようにする.制御マイコンの回路実装に関して基板を整備し,連続使用に耐えるものとする.また,作業効率を高めかつ安全に配慮した設計とし,外部デザインの改良にも努める. 簡易型形絞りロボットでは,さらに軽量化と確実な作業性に配慮した設計を試みる.また,部品点数の削減と,加工性を考慮した低コスト化を推し進め,親しみやすい外部デザインを取り入れる.ハンドルを押したときに転倒する危険性を減らす工夫をする.現状では1種類であるキャップの形状の多様化も検討したい.有限要素法によるシミュレーションで新たに設計するニードル保持部と移動部機構の耐久性を確認する.
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Causes of Carryover |
ロボットは試作段階のため台数を抑えた結果,物品の購入額は少なくなった.次年度から製作するロボットを増やして実際に作業に使用してもらい評価する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額577,148円は物品購入後の残金であり,次年度の物品購入費800,000円と合わせて使用する予定である.その他の直接経費は旅費200,000円,人件費・謝金100,000円,その他100,000円である
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Research Products
(3 results)