2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420231
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 幸男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50190658)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電源コード / 素線 / 短絡 / 電圧波形 / 検出回路 / 壁付コンセント |
Outline of Annual Research Achievements |
電気設備火災の件数は年々微増しているが、その20%強が電線の導体同士が接触して発生する「電線の短絡」が原因とされている。100V電源コードを家具などの重重量物で踏みつけたり、繰返し曲げ伸ばししたりすると、導体(素線)が断線する可能性がある。断線した素線が接触すると短絡が生じ、大電流により素線が溶断して火災の引き金になる。市販のコード短絡防止用ブレーカでは素線短絡の検出が難しく、火災未然防止のための技術確立が社会的に強く要望されている。 このような状況に鑑み、本研究では、(1)電源コード短絡検出に適切な特徴量の決定、(2)短絡検出法の考案と有効性評価、(3)提案手法に基づいた試作品作成と現場適用性の検討、を目標としている。 今年度は特徴量の抽出、検出回路の試作を行った。成果を以下に示す。 (1)素線短絡発生時の電圧および電流波形と高速度カメラで撮影した短絡現象を詳細に解析し、素線溶断直前に電圧波形が歪むことを明らかにした。この歪みを特徴付ける量として、所定の電圧幅内に電圧瞬時値が入る時間(検知時間)を導入した。(2)コンセントに接続した電気製品をON/OFFする際の過渡現象により電圧波形の歪みが生じる可能性を、種々の電気製品を用いて検討した。歪みは発生することがあるものの、素線短絡時に比べて検知時間が短く、持続時間が長いことを示した。(3)これらの結果を踏まえ、①検知時間が3ms以上であること、②電圧波形の歪みは1周期以内であること、を素線短絡検出条件と決めた。(4)素線短絡検出条件を判定する回路とブレーカを内蔵した壁付コンセントを試作した。実験室での性能評価途中であるが、これまでのところ、ほぼ設計通りにブレーカが動作して電力供給遮断に成功している。今後さらに種々の条件下で評価を進めるとともに、現場適用に向けて素線短絡検出条件の最適化と試作器の改良行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、平成26年度には高速度カメラを用いて素線短絡現象を把握するとともに、素線短絡時の電圧および電流波形の解析を行い、素線短絡に特有の特徴量を抽出することを目標としていた。 種々の条件における実験および結果の解析を鋭意行った結果、当初予定よりも早く特徴量を決定することができた。この成果を踏まえて、27年度に予定していた検出器の試作を行い、その動作特性の評価を開始した。このため、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
実用化を目指し、次の順序で研究を進める。 (1)素線短絡条件(素線本数など)や回路抵抗を変え、平成26年度に試作した検出器の動作確認を行う。 (2)結果を詳細に検討し、素線短絡条件の妥当性を評価する。必要に応じて素線短絡条件を変更し、その条件に基づいた検出器を試作して動作確認を行う。 (3)現場適用性を検討する。誤動作をしないことを最優先し、素線短絡を確実に検出できる手法を考案する。
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