2015 Fiscal Year Research-status Report
新材料パワー半導体を用いたハイブリッドカー用次世代型電力変換器に関する研究
Project/Area Number |
26420235
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山本 真義 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60432621)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | GaN / SiC / パワー半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
新材料パワー半導体であるGaNとSiCを用いた車載用電力変換システムの構築を試みている。車載用DC-DCコンバータにおいては1200V耐圧品のGaNパワー半導体を作成し、これらを用いて800V出力の昇圧チョッパを構築し、実機動作を確認した。従来のSi系IGBTと比較して60%の損失低減を実現していることを実証評価した。さらに、GaN-HEMTを用いて絶縁方式のDC-DCコンバータを作成し、2.2kWの三相LLCコンバータを実機構築した。また駆動周波数を1MHzという高いスイッチング周波数での実機動作も実現している。このシステム構築により、出力に使用される大きな平滑キャパシタが従来に比べて1/25に小型化できることを実証した。 また、車載用インバータに関してはSiCを適用することで高周波動作の実現を試みた。結果として1kW条件下における三相インバータにおいて、従来のIGBT使用条件における10kHzのスイッチング周波数に対して、50kHzの高周波動作を実現した。さらに、この高周波化により、出力側フィルタの小型化が可能であることを示した。具体的には、出力フィルタ部における体積として1/5に低減可能となり、実際にフィルタをそれぞれの条件で最適設計したものを実機構築し、相対比較を行った。効率としても従来比2%の効率改善を実現した。 また、ハイブリッド車に使用されている昇圧チョッパとインバータを直列に接続した連携システムの構築も実現した。この実機を用いることで、インバータにおける制御を工夫することで、昇圧チョッパとインバータのリンクキャパシタを1/10の容量に抑制することが可能なことも示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来はGaNパワー半導体においてはオンシリコンにて形成されるGaN-HEMT構造のパワー半導体が一般的であったが、今回はオンサファイアのGaNパワー半導体を作成できたことが、研究を飛躍的に前進させた原動力となっている。従来は600V耐圧程度が限界であったのに対して、今回のオンサファイアのGaNパワー半導体は1200V耐圧のプロトタイプ品が作成できた。本半導体を電力変換器にて評価したのは、世界初である。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に、小型化、高効率化を具現化する車載用電力変換器の構築は、DC-DCコンバータ、インバータに対して共に実現している。今後は、実際の製品化にあたり問題となる技術的なハードルについて洗い出し、並びに対策を行っていく。具体的には、スイッチング周波数が上昇することによるノイズの問題である。車載用電力変換器として、ラジオに影響を及ぼすノイズについて完成者メーカ各社は独自に厳しい規制を持っている。これらの問題にあたり、SiCやGaNがどの様な問題を内包するかについて、実証評価を行い、洗い出しを実現する。具体的には、IGBTで10kHzで駆動した場合とSiCで50kHzにて駆動した場合における伝導性、放射性ノイズの発生状況である。これらを踏まえて、車載用電力変換器としてGaNとSiCの応用の可能性を模索し、将来の我が国の新材料パワー半導体応用市場の糸口を見いだす。
|