2014 Fiscal Year Research-status Report
大気圧ハイドロカーボンプラズマ支援CVDによるDLC成膜技術開発に関する基礎研究
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26420247
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 昭紀 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70335090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非平衡大気圧プラズマ / 炭化水素ガス / プラズマCVD |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募課題では,従来自動車業界などでのコーティング技術として利用されてきたダイヤモンドライクカーボン(以下,DLC)膜の次世代成膜技術として大気圧プラズマCVD技術に着目し,その成膜源である大気圧ハイドロカーボンプラズマをシミュレーションおよび実験・計測の両面から調査・検討し超高速DLC成膜の制御指針を見いだす内容である. 以下に,本年度で実施された本研究課題の成果をプラズマシミュレーションおよびプラズマの実験・計測とに分けてまとめる. (1)プラズマシミュレーション:本年度では,今後シミュレーションを行う上で必要となる炭化水素ガスでの電子衝突断面積セットや反応速度定数などの基礎データの収集を行った.その上で,今後実施予定の大気圧炭化水素プラズマシミュレーションを行うために,まずは大気圧ヘリウムプラズマの軸対称3次元流体モデルを構築し,その基礎特性の解析を行った.それと平行して,数ある炭化水素ガスのうち,シリコンを含んだDLC膜創成用のテトラメチルシラン(Si(CH3)4)の容量結合型高周波プラズマの空間1次元流体モデルを構築した上でシミュレーションを行い,放電プラズマ基礎特性に及ぼす各種外部パラメータ(ガス圧力,入力電力,放電ギャップ長など)の依存性に関し調査を行った. (2)プラズマの実験・計測:本実験の手始めに,本研究室の所有設備にて,容量結合型高周波アルゴン・窒素・酸素プラズマの診断をラングミュアプローブ法および四重極質量分析により行った.その結果,窒素や酸素といった分子性ガスでの質量分析結果から,プラズマを介して生成される化学的活性種である窒素原子や酸素分子の存在など多くの知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成度に関しては,当初予定の研究目的の達成度と比較し,プラズマシミュレーションの研究では,大気圧プラズマのモデル化・シミュレーションの実施,それと平行して炭化水素プラズマのモデル化・シミュレーションの実施と,当初予定以上の進展があった.プラズマの実験・計測では,当初予定通りの成果が得られた.よって,これらを総合すると概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究の推進方針としては,(1)プラズマシミュレーションおよび(2)プラズマの実験・計測の2つに分けてそれぞれ方策を示す.
(1)プラズマシミュレーション:先に構築済みの炭化水素ガスプラズマの空間1次元モデルの空間次元を軸対称3次元へ拡張し,プラズマ実験・計測と比較しやすいモデルを構築する.その上で,メタンやアセチレンなどの低ガス圧力下での炭化水素プラズマのシミュレーションを行い,本プラズマでの各種知見をまとめる.実際の進捗状況次第では,大気圧条件下でのプラズマのシミュレーションも行う予定である.
(2)プラズマの実験・計測:先の容量結合型高周波アルゴン・窒素・酸素プラズマのラングミュアプローブおよび四重極質量分析による診断からの知見を利用し,まずは低亜ガス圧力下でのメタンやアセチレンプラズマの診断を行う.そこで得られた結果と,上記(1)でのシミュレーションからの結果との比較を通じて,知見としてまとめる.
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