2015 Fiscal Year Research-status Report
超小型体内留置デバイス用容量結合型デジタル情報・電力伝送システムの研究開発
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26420249
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柴 建次 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (10343112)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 容量結合 / 体内深部埋込機器 / ワイヤレス / コモンモード / PIC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,容量結合で体内―体外間通信を行うための,(1)デジタル通信回路の体内埋込デバイスのデモ機の試作と,(2)生体電磁安全性の確認(電極エッジ部の電流密度解析と実測),(3)容量結合型ワイヤレス電力伝送の正確な効率測定を行った.(1)においては,KOA(株)に協力していただき,デジタル通信回路の試作を行った.送信回路は,PICを用いて,32000pbsで送信を行うものを試作した.また受信回路は,ACノイズによる誤動作が問題になったため,強力なローパスフィルタを再設計した.また,電源部についても CR2032の電池1個で駆動できるように回路を全面的に改良した.また,受信電極が逆になると,通信不通になる現象があったが,これを解決するための回路の工夫も行った.体内―体外間の効果的な通信のデモができる準備が整った. (2)の電極エッジ効果については,まず,電磁界解析によって周波数に対するエッジ効果の影響の調査を行った.周波数を1-40MHzまで変化させたときのエッジ効果率(エッジ部の電界値/電極中央の電界値)を調べたところ,1MHzで2.33倍であった.また,エッジ効果を抑制するための検討として,生理食塩水のボーラスを電極のエッジ部の横に置いた場合にエッジ効果は1.6~1.7倍に抑制されることを確認した. (3)昨年度の研究課題であった,容量結合型ワイヤレス電力伝送における効率測定について,空間を介して容量的に結合して流れてしまうコモンモード電流が,効率の測定誤差を増加させていることがわかったため,コモンモードフィルタを導入し再度測定した.その結果,コモンモード電流を大きく抑制できることを確認でき,効率も導入前と異なる値となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デモ機の試作が終わり,予定していた計画はすべて順調に進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず,①容量結合以外の他の方式の無線電力伝送との比較と,②液体模擬人体中の電流密度測定用センサによる電流密度の確認を行う. 電流密度センサについては,電極の形よりも昨年行ったコモンモード電流を抑制することがこの測定に大変重要なことがわかってきた.コモンモード抑制の部分に力を入れる.そのため,絶縁された測定器や差動プローブや大地から測定器を浮かせるためのUPS(バッテリ)等,大地からアイソレートが可能な測定器が新たに必要になる. 人体組織中のデジタル通信用波形整形ローパスフィルタと増幅回路の再設計は,初年度に設計を行ったが,水槽サイズなどが変わったりNaCl濃度が変わると,増幅度が足りなくなる現象が新たに生じた.このため,③ローパスフィルタのカットオフ周波数と,増幅回路の構成を改めて検討も追加する. さらには,具体的なデモ例として,④胃の内部ー体表面を情報伝送・電力伝送するようにするための実験装置や,⑤消費電力を下げるための工夫として,電極に絶縁シートを貼り送信電極の入力インピーダンスを高くすることで,ショート電流を小さくする工夫なども行う.これらの実験でインピーダンスを正確にかつ詳細に測定する必要があるため,LCRメータから連続データを取るための周辺装置類(専用のノートパソコン)なども購入予定である.また,通信や電力伝送の回路が決定してきた段階で,デモ用の小型回路の試作を行うことも考えている.さらには,⑥電磁界解析を用いて,④の場合の電極配置を計算する.人体モデルの臓器の構造から考えて最適な配置を求める.
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Causes of Carryover |
研究成果は多くでているが,基礎的研究を中心に行っていたため使用するのが遅くなっているだけであり,デモ機作成など向けてこれから多く使う予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電流密度センサについては,電極の形よりもコモンモード電流を抑制することがこ重要なことがわかってきた.そのため,絶縁された測定器(追加のオシロスコープ)や差動プローブやUPS(バッテリ)等,大地からアイソレートが可能な測定器が新たに必要になる.また,具体的なデモ例として,胃の内部-体表面を情報伝送・電力伝送するようにするための実験装置を完成させる予定であり,回路製作や部品代,実装費などで用いる予定である.さらには,電磁界解析を用いて,電極配置を計算するが,そのためには使いやすい人体モデルも必要であり,ATEから購入予定である.電力伝送においては,電磁誘導型や磁気共鳴型のアンテナを作成予定であり,これらの作成に銅線やキャパシタなどの電子部品が必要であり,購入予定である.また,評価において,生体電磁ファントムで実験予定であり,そのためのファントム材料や,アクリルケース等も購入予定である.
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Remarks |
上記には書けませんでしたが,関連する内容で特許取得しました. 体内情報伝送装置,出願2011年9月1日,登録日2016年1月15日,発明者:柴建次
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Research Products
(9 results)