2014 Fiscal Year Research-status Report
ウィンドファームにおける雷撃様相とそれが各風車の雷被害様相に与える影響
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26420256
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山本 和男 中部大学, 工学部, 准教授 (50332052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雷 / 風力発電システム / 雷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射電界を測定するシステムを製作完了し,直撃雷を検出するシステムのセンサ(コイル)部分の特性改善を行った。 前者の測定システムは半球型あるいは平行平板型の電界アンテナを用いて風力発電システムに落ちた雷から放射される電界を記録するようになっている。平行平板型の方がアンテナの校正が容易であるが,測定点の多くは冬季の積雪が予想され,アンテナ上部に積もった雪による測定精度への悪影響が懸念されることから,設置場所に応じてアンテナの選定を行わなければならない。また,アンプの帯域には限界があるため,2種類のアンプ(スロー用:0.1 Hz ~ 70 kHz,ファスト用:0.7kHz ~ 3 MHz)用いて信号を増幅,それぞれA/D変換装置を用いてPCに記録するようにした。空間には様々なノイズが存在し,それらノイズを検知し,取得すべき信号と区別できるようにしている。本年度は入善風力発電所から6kmほど離れた位置にこの半球状のアンテナを設置した。現在,風車に落ちた雷により発生した放射電界を測定中である。 後者のシステムは雷撃のあった風力発電システムを検出するためのシステムである。雷撃時にタワーを通過する電流によりタワー側面に設置した-ループコイルに誘導電圧が発生,その誘導電圧を検出することで雷撃の有無を判定する。信号レベルに応じてアンプあるいはアッテネータを挿入しAD変換機を介してPCにその誘導電圧波形を記録する。ここでも同様に雷撃による放射電界なのか,その他のノイズなのかを判別できるようにしている。今年度は,このセンサのコイル部分の特性を改善する研究を行い,ターン数やコアの特性がセンサの周波数特性に与える影響について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2種類のセンサを完成させる予定であった。1つのセンサは完成させ,すでに設置している。もう一つのセンサは検出部の特性を把握し,その特性を改善するに少し時間がかかっている。しかし,改善がうまく進み,良い結果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
NEDOの補助事業が終了し,そこで利用していた大口径ロゴスキーコイル(タワーの根元に設置し,雷電流を測定するコイル)を用いた雷電流測定システムを無償譲渡して頂いた。2種類の測定システムが完成したのち,入善風力発電所近くに2つのシステムを設置し測定を開始する(もうすでに一つは開始している)。風力発電システムに設置済みのロゴスキーコイルで測定した雷電流特性と,本システムで測定した電界波形,電流波形から予測した雷電流特性を比較し,その精度検証をおこなう。 今年度は,測定データの比較・検証をしながら測定精度を向上させるための調整を行う必要がある。具体的にはアンテナ設置位置の変更や,2つの測定システム内にあるアンプ,アッテネータの増幅率・減衰率を雷電流から放出される放射電界のレベルに応じて調整する。これまで,ロゴスキーコイルを用いて入善風力発電システムに落ちる雷電流のピーク値が測定されており,そのデータによると,この地域では最大50kA程度の雷撃を想定すれば99 %の雷が捕捉できることが明らかとなっている(NEDO,「平成24年度次世代風力発電技術開発(自然環境対応技術等(落雷保護対策)成果報告書」)。50kA以下の雷が風力発電システムに落ちた時に放射される電界を数値電磁界解析によりあらかじめ計算し,その結果を基に測定システムの調節を行う。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りの支出であったが,物品購入額の微小な変動から少額(376円)の繰越が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測システムの改良費の一部として利用する予定である。
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