2015 Fiscal Year Research-status Report
最新計測技術による誘導モータの超低振動・低騒音化に向けた詳細な実験的検討と考察
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26420257
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
廣塚 功 中部大学, 工学部, 教授 (20228844)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 誘導電動機 / 電磁振動 / 電磁騒音 / 半径方向分布 / 無響室 / 高調波磁束 |
Outline of Annual Research Achievements |
三相かご形誘導電動機(以下,IM)は産業動力用等として幅広く用いられており,近年,IMの高性能化の要求からより一層IMの低振動低騒音化が求められている。IMの振動騒音に関する研究は古くから多数行われているが,より一層の低振動低騒音化を諮るには,さらに詳細かつ精密な測定および検討が必須である。そこで,当該研究では,汎用IMの低振動・低騒音化に寄与するため,IMの電磁振動・電磁騒音の特徴を詳細かつ多数の実験により明らかにすると共に,理論的にも検討していこうとするものである。 平成26年度は,当該研究課題以前に取得したIMの電磁振動・騒音の半径方向分布の特徴などに対して,追加実験を行い,IM表面の測定位置により,電磁振動の発生の特徴が異なることを詳細なる実験結果に基づき,定量的に明らかにした。その成果は国際会議Inter noise 2014にて公表した。この発表では,IMの負荷状態により滑り(回転数)が変わるため,電磁振動・騒音の発生周波数が変化するが,IMの電源周波数を微調整することにより振動・騒音発生周波数を一定に保つという,世界でも類を見ない超精密な実験結果を公表すると共に,IM表面の測定位置により,負荷に対する電磁振動・騒音の発生の特徴が異なることを明らかにしている。この原因は,機械的な非対称性によると考えられることを示唆しており,現在,その詳細な追実験を行っている。 平成27年度は,平成26年度に引き続き,特に機械系の共振がIMの電磁振動・電磁騒音に及ぼす影響を明らかにするために,測定位置および負荷状態に対する電磁振動・電磁騒音の特徴を実験的に明らかにした。その成果は平成27年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会およびICEMS2015にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究期間内の目標」に記したように,発生の特徴を詳細なる実験結果に基づき検討している。すなわち,実験環境改善としてモータ騒音実験室の暗騒音の低減を行い,三相かご形誘導電動機(以下,IMと略記)の半径方向の電磁振動・電磁騒音に関する基本的な実験データ収集を精力的に行っている。特に,IMの滑りが負荷により変化するため,負荷の増減により電磁振動・電磁騒音が変化した場合,振動成分の発生周波数が変化し,機械系の共振の影響が現れ,電磁力波の大きさそのものが負荷に対してどのように変化したかが捉えられない。そこで,IMの滑りが変化した場合であっても,振動・騒音成分の発生周波数を一定とするように,IMの電源電圧の周波数を変化させると共に,IM内部の磁束をほぼ一定と見なせるように電源電圧の大きさを,定格電圧200V/60Hzの比に保つように設定して実験を行っている。この実験においては,IMの負荷状態によりIMそのものの温度が著しく変化し,機械系の共振の影響が著しく変化する場合があり,IMへの負荷状態,印加電圧の設定を如何に素早く行い,安定したIMの温度状態での超精密な測定が必須となっている。また,その振動・騒音成分の発生原因となる電磁力波に対しての考察も行っており,供試機における電磁振動・電磁騒音の半径方向分布に対しての知見も得られつつある。しかし,より多くの条件下でのIMの電磁振動・電磁騒音の測定は若干遅れている。これは,FFTアナライザおよびマイクロフォンの故障に基づいている。それら計測器の修理期間が数ヶ月に亘ったため,現在,その遅れを取り戻すべく精力的に実験を行っている。 以上のように,計測器の故障により,当該研究で設定している研究計画より若干遅れ気味ではあるが,平成28年度には十分遅れを取り戻せる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように,平成26年度までに,実際のIMにおける機械系の非対称性(脚や端子箱の存在)に起因した電磁振動・騒音の半径方向分布の特徴の一部を超精密な測定により明らかにしている。 平成27年度は,平成26年度に続き,実験条件,特に機械系の共振の影響を変更するように,振動・騒音発生周波数を変えるべく,電源周波数を60Hzから50Hzに変更した実験,および回転子スロット数の変更による,異なる発生原因の電磁振動・騒音成分に対する詳細かつ精密な実験を実施し,IMの電磁振動・電磁騒音の発生の特徴を実験的に明らかにし,その成果を,国際会議を中心に公表できた。 平成28年度は,IMの電磁振動・電磁騒音に及ぼす機械系の共振の影響をさらに詳細に検討するため,電源周波数50Hzをベースとした実験を行う。この実験結果と,昨年度までに得た電源周波数60Hzにおける実験結果との比較検討により電磁振動・電磁騒音の発生の特徴がより一層明確になるものと考えている。また,当該研究期間の最終年度であるので,研究期間全般の実験データを取りまとめ,中部大学紀要に投稿する予定である。
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