2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420258
|
Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大下 祥雄 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10329849)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 俊和 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20500458)
町田 英明 気相成長株式会社(CVD研究部及び合成研究部), その他部局等, その他 (30535670)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 水素貯蔵 / 太陽電池 / 分子 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素のキャリアとして、無毒であり一般的な分子であるアスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸を選定した。触媒および燃料電池を用いた酸化還元を利用して、触媒を用いた分子への水素貯蔵と水素添加された分子による燃料電池の駆動を目標として実験を進めた。デヒドロアスコルビン酸への水素添加実験は、平成25年度に終了した基盤(C)の研究成果として完成させたポリシラン金属触媒を充填した反応装置を用いた。デヒドロアスコルビン酸に水素が添加された事を判断する手段として、最初に、簡便短時間で結果がわかる薄層クロマトグラフ(TLC)を用いた。続いて、TLCにおいて水素添加反応の可能性が示された試料に関し、それを濃縮しH NMRにおいて最終確認を行った。予備実験として、アスコルビン酸、ならびにデヒドロアスコルビン酸が可溶な溶媒を確認した。次に、アスコルビン酸、ならびにデヒドロアスコルビン酸が展開するTLC溶媒を選定した。その後、試料:デヒドロアスコルビン酸、溶媒:水:メタノール=1:1、濃度:0.025mol/ml、溶液流速:0.2ml/min、水素:5.6ml/minの条件において、溶媒を10分間流してから溶液を40分、最後に溶媒を流しTCL測定を行った。その結果、アスコルビン酸が検出された。一方、デヒドロアスコルビン酸は検出されなかった。この結果は、ポリシランパラジウム触媒によりデヒドロアスコルビン酸に水素が添加されてアスコルビン酸に還元された可能性を示すものである。確認のためH NMR測定した結果、アスコルビン酸と同じ信号が得られた一方で、デヒドロアスコルビン酸の信号は得られなかった。すなわち、本システムにより、触媒と水素分子によりデヒドロアスコルビン酸が全量還元された、すなわち、本システムにより分子に水素が付加されたことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした結果が得られた。より詳細な原理実証を今後進め、提案システムの有効性を検討する。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験において、ポリシランパラジウム触媒によりデヒドロアスコルビン酸に水素が添加されてアスコルビン酸に還元された可能性が示された。本結果を受けて、2015年度は以下の実験を進める。次のステップとしては、デヒドロアスコルビン酸が還元されていることを、再度確認するとともに、還元効率などの基礎的なデータを収集する。確認を進めながら、エネルギー貯蔵システムとしての基礎実験の第一歩として、還元されたアスコルビン酸水溶液を用いて、燃料電池による発電を検証する。具体的には、発電により電力が取り出せることを確認する。加えて、燃料電池の発電後の水溶液をTLCとNMRにより調べ、酸化によりヒドロアスコルビン酸が生成されるかどうかを調べる。この時、燃料電池ではメタノールは使用できないためデヒドロアスコルビン酸の還元が水溶液で可能かを最初に検証する。上記までの確認ができた場合、燃料電池の発電後の水溶液からデヒドロアスコルビン酸を回収して還元実験を行い、還元装置と燃料電池の間に溶液を還流させ連続的に発電できることを確かめる。それらの結果をふまえ、本システムにより水素の貯蔵ならびに輸送することが可能性ならびに課題を検討する。
|
Causes of Carryover |
実験結果が年度末に得られたため、次年度に実験を繰り越したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた実験に使用する。
|