2014 Fiscal Year Research-status Report
ゼオライトを利用したセシウム吸着電極の開発と動電処理による除染への応用
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26420265
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 雅史 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60226553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カビール ムハムドゥル 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10422164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動電処理 / 除染 / ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,汚染土壌の広範な原位置処理を可能とすること目的として,斜面および細粒土における動電処理のセシウム除去効果を検討した。また,イオン吸着性電極を用いた場合における動電処理のセシウム吸着効果についても検討した。 その結果,土壌粒度40µm~212µmの汚染土壌に対して,水をかけ流した場合に比べて,100V/mの電界を印加した動電処理によって,21日間でおよそ4.85倍のセシウム除去効果が得られた。印加電界が高いほど,土壌からのセシウム除去効果は高くなったが,電気分解による水酸化物イオンの発生に伴うpHjumpの影響や,環境への影響もあり,適切な電界値を選択する必要がある。また,平面と斜面における動電処理実験の結果の比較から,動電処理によって斜面においても平面と同様のセシウム除去効果が得られることがわかり,今後の中山間地の除染に動電処理が有効であることを確認した。また,土壌粒度40µm以下の汚染土壌に対して,水をかけ流した場合に比べて,100V/mの電界電圧を印加した動電処理によって,21日間でおよそ7.26倍のセシウム除去効果が得られた。また,土壌粒度が小さくなるとセシウム除去率は低下するが,動電処理によるセシウム除去効果は顕著となることがわかった。セシウムは粒度の小さな土壌により強固に吸着しているため,除染への動電処理の利用は極めて有効であると考えられる。さらに,イオン吸着電極としてくん炭マットを用いて100V/m の電界電圧を印加した動電処理によって,21日間の処理で汚染土壌からおよそ24.8%のセシウムを除去し,そのうち68.4%のセシウムを陰極に吸着させることに成功した。そのため,動電処理によるセシウム吸着が可能であり,従来の動電処理と比べて,セシウムを排水ではなく,電極に吸着させて回収できるため,排水による2次汚染などを低減した処理が可能と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった,中山間地を模擬した斜面での動電処理に成功し,平面と同様に除染効果があることを明らかにした。動電処理において印加電圧を変え,セシウム除去効果がどのように変化するか確認することができた。実験中に,排水を経時的に採取し,セシウムがどのように陰極側へ移動するか調べることができた。排水および実験後の土壌から原子吸光分析装置によりセシウム濃度を測定し,動電処理による除染について検討することができた。 さらに,くんたんマットをイオン吸着電極として利用し,土壌中のセシウムイオンを吸着回収することに成功した。また,ゼオライト,くんたんなどからなる新しいイオン吸着電極の作製法について検討した。 このように,当初の研究計画をおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, ①動電処理に関して 土壌の性質(透水性など)をさらに変え,動電処理の適用範囲を明らかにするとともに,陽極側より供給する水の性質を変え,さらに短時間で除染ができないか検討する。 ②イオン吸着電極の作製に関して ゼオライトと同様に高いセシウムイオン吸着能を持つくんたんを用いた電極の作製法について引き続き検討する。この際,バインダーを用いた加圧成型法のほか,くんたんマットの作製法を応用した手法なども検討する。
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Causes of Carryover |
チタンメッシュ電極の使用枚数が当初予定よりわずかに少なくて済んだこと,ビーカー等の使用量が当初予定より少なかったことなどによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において,新しいイオン吸着電極の製造法の開発が重要な課題となるため,この部分に重点的に余った予算を利用する。
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