2015 Fiscal Year Research-status Report
弾性定数からみた環境調和型圧電材料での高圧電性の創出
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26420282
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (40247573)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音速 / 弾性定数 / リラクサ単結晶板 / 誘電・圧電定数 / 強誘電体ドメイン / 超音波厚さ計 / 医療探触子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】高周波超音波が発振可能な超音波厚さ計により、医療探触子用リラクサ単結晶板[(100)面0.70Pb(Mg1/3Nb2/3)TiO3-0.30PbTiO3{PMNT70/30}]の音速測定を行い、板面内の強誘電体ドメインと弾性定数及び誘電・圧電特性との関係を明らかにする。 【研究方法】PMNT70/30圧電単結晶板(長さ20.7×幅14×厚さ0.39 mm)の厚み方向(分極方向)に伝搬する縦波(周波数30 MHz)・横波(20 MHz)を発信するPZTトランスデューサからなる超音波厚さ計(オリンパス製35DL)で単結晶板での縦波速度(VL)、横波速度(VS)の測定を行い、これらから弾性定数(ヤング率・ポアソン比・剛性率・体積弾性率)を求めた。単結晶板は6枚、一枚当たりの測定箇所は6点で、合計36点の測定を行った。更に、圧電特性(インピーダンス周波数応答等)の測定と共に透過型光学顕微鏡により面内の強誘電体ドメインを観察した。 【研究結果】単結晶板の厚み振動電気機械結合係数ktは、kt=63.1%, 標準偏差σ=0.25%(測定枚数n=6 pcs)と極めて小さく、医療探触子用振動子として適していることが明らかとなった。一方、面内6点でのVL, VSの面内バラツキを調べたところ、最大・最小幅が数m/s(4 pcs)のものと数10-100m/s(2 pcs)のものに分かれた。このことから単結晶板の音速測定により、誘電・圧電定数(kt等)では評価できない単結晶面内のドメインの分布や均一性が音速測定により、評価できた。更に、弾性定数のの面内変動は、インピーダンスの周波数応答及び顕微鏡によるドメイン観察結果とも一致していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで実施してきた鉛系及び非鉛系圧電セラミックスでの音速測定方法が単結晶板にも適用できることが明らかとなった。音速から求めた単結晶板の弾性定数が誘電・圧電定数に加えて、同時に測定可能となり、両者の比較より、セラミックスも含めた圧電材料における高圧電性の起源が解明できつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
鉛系及び非鉛系圧電セラミックスと圧電単結晶との弾性定数を比較することにより、両者に共通の強誘電体ドメイン境界や結晶粒界の役割が解明できる可能性が出てきた。これらの結果をもとに、新規な環境調和型圧電材料の開発指針を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
厳正な執行計画(完全予算執行)が達成できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の消耗品費として計上予定です。
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Research Products
(12 results)