2014 Fiscal Year Research-status Report
スパッタ法による高伝導度薄膜電解質の開発とその燃料電池応用
Project/Area Number |
26420284
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
内山 潔 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, その他 (80403327)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロトン伝導 / 薄膜 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度(初年度)ではスパッタ法により種々のプロトン伝導性薄膜を作製し,その伝導性の評価を行った.本研究では,伝導性は低いが化学的安定性の高いとされるジルコネート系(実際にはYドープSrZrO3(以下SZYO))および高い伝導性を有するが化学的安定性に欠けるとされるセレート系(実際にはYドープBaCeO3(以下BCYO))について検討を行った. その結果SZYO薄膜では伝導性の評価が可能であったが,BCYO薄膜では電極間の短絡が発生し伝導性の評価ができなかった.これは今回伝導度測定を行っている湿潤・高温(400~600℃)雰囲気下(すなわち実際に電解質を燃料電池に使用するのとほぼ同等の環境下)において,BCYOの組成分解が発生していることが原因と考えられる.実際,湿潤・高温雰囲気下に暴露した試料ではセリア相の出現がX線回折により明らかとなり,BCYOの化学的不安定性が確認された.このようなセレート系電解質の熱分解はCO2雰囲気下では多数報告されていたが,今回湿潤雰囲気下でも同様に分解することを初めて見出した.これにより,高伝導度の実現と同時により化学的に安定な電解質材料の開発が重要になることが示唆された. 一方,SZYOについては湿潤と乾燥雰囲気下で伝導度に差が確認され,またそのアレニウスプロットによる活性化エネルギーに関する考察により,約500℃以下においてプロトン伝導性が発現していることが示唆された.しかし,得られたプロトン伝導性は10E-6S/cm台であり,燃料電池に使用可能な目標値(10E-4S/cm)に比べ約2桁小さい値となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高い伝導度を示すと考えられるセレート系材料において組成分解が発生し,その伝導特性の評価を行うことができず,目標とする伝導度(10E-4S/cm)を達成できなかった.また,セレート系での短絡の原因解明のため時間を要したことから,実際にセル構造を試作し燃料電池特性を評価するまでには至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
より高い伝導度の実現のためさらなる材料探索を行っていく他,伝導度の高いとされるセレート系材料を化学的安定性に優れるジルコネート系材料で挟み込むことにより湿潤雰囲気下における熱分解を阻止し,伝導性と化学的安定性の両立を図ることを考えている. さらに,電解質の最適化と並行して,薄膜電解質を用いたセル構造を実際に試作し,その特性評価をもとに電解質の材料・構造の最適化を行っていくとともに,セル試作上の課題,例えば電極の形成方法等,についても検討をすすめる予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額として445円発生したが,この予算に見合った案件が発生しなかったので繰越をおこなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越した445円は次年度配分される助成金とあわせ,必要物品の購入等を行う予定である.
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Research Products
(4 results)