2015 Fiscal Year Research-status Report
撥水性評価技術の革新によるシリコーンゴムがいし材料の非接触劣化診断技術の開発
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26420285
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| Research Institution | Gifu National College of Technology |
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Principal Investigator |
所 哲郎 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10155525)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | シリコーンゴム / がいし / 撥水性 / 劣化診断 / 望遠計測 / 動的接触角 / 表面粗さ / 温度依存性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に有効性が確認された，微小水滴の体積を増加及び減少させ，前進接触角と後退接触角の変化を動的に計測していく手法について，ポリマーがいし材料の表面温度と表面粗さの影響を実験的に検証した。測定には接触角計を用いて，水滴の体積変化と動的な接触角の変化の試料および試験条件による違いを検証した。その結果，１．試料乾燥状態においては，動的接触角の振る舞いの違いで，電気学会調査専門委員会の５種類の試料を見分けることができることが示唆された。２．試料温度を低下させて観測すると，動的接触角の変化が大きくなり，試料の違いがより顕著となった。３．表面粗さと垂直な方向の動的接触角の変化は大きく，平行な方向の変化は少ない。４．試料の吸水状態が変化すると，接触角の違いが吸水に伴う撥水性の低下で見かけ上，区別がつきにくくなり，全体的に撥水性が低下してしまう。この場合，撥水性の時間的変化を水滴体積増減法による動的接触角測定のヒステリシスを繰り返し観測することで，試料の違いや劣化状態の変化を評価可能となることが示唆された。
次に，接触角の望遠観測の検討については，１ｍの距離から接触角を非接触で望遠計測することが可能であることを確認できた。しかしながら，接触角が９０度以上の撥水性の良好な状態については，水滴の半径と焦点距離の分解能の関係で，傾斜観測法を用いても測定精度に問題があり，更なる検討が必要である事が示唆された。
コンクリートに対する本研究手法の応用から，試料の吸水状態の変化が，撥水性計測を用いた劣化診断に大きな影響を及ぼすことが示唆された。この点については，数秒間から数分間の比較的短時間の撥水状態の時間依存生を計測することの有効性が示唆されたので，この撥水状態の時間依存生についても今後検討していく。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料表面温度や表面粗さを変化させ，撥水性評価指標の変化を観測することで，試料の違いや状態の違いを定量的に評価することが可能となった。また，撥水状態は試料の吸水状態により大きく変化するが，撥水性評価指標の時間的変化を追うことで有益な情報が得られることが確認できた。
撥水性評価指標としては，水滴体積増減法を用いた動的接触角の測定が，新たな評価指標となり得ることを見いだした。撥水性の望遠計測に関しては，９０度以下の接触角の評価には成功したが，撥水性の良好な状態での評価はうまくできなかった。
撥水状態の計測方法について，引き続き改善・改良を進め，撥水性の望遠計測や非接触での接触角測定の精度と計測範囲の向上を引き続き研究する。これらにより，表面撥水性計測による材料評価・劣化診断技術のさらなる改善を目指すことの有益性が確認できた。
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| Strategy for Future Research Activity |
撥水状態の望遠計測については，従来のＳＴＲＩ法に加えて，本研究で提案している非接触での接触角計測手法を引き続き研究し，その測定精度と測定範囲の向上を目指す。
当初予定していた撥水性の凹部などミクロな箇所の計測に関しては，上記手法と連動して今後開発を進める。光源位置と観測位置の幾何学的な関係が鍵となるので，モデルでの計測を含めて検討していく。
撥水性評価指標に影響を及ぼす，試料表面温度・表面粗さ・吸水状態については，撥水性評価指標を接触角のみに限らず，本年度実施した動的接触角計測・ＳＴＲＩ法（スプレー法），ＤＤＴ法などとも連携して，研究の汎用性を向上させていく。特に撥水状態の動的な変化を含めて，撥水性評価指標の時間依存生が鍵となることが示唆されたため，同じ計測手法でも，撥水状態形成からの時間的変化に注目した計測を進めていく。
コンクリート表面の撥水層の性能評価など，本研究の計測手法は絶縁材料に限定されるものでは無いため，上記撥水状態の時間的変化とも関係して，シリコーンゴムとは吸水速さや吸水飽和量の異なる材料でも撥水性の観測を進め，その知見を本研究目的にフィードバックしていく。
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| Causes of Carryover |
国際会議での発表を日本国内で開催された国際会議に参加して実施した。次年度は国際会議をＣＥＩＤＰ（２０１６年１０月カナダにて・ＩＥＥＥ・ＤＥＩＳ主催）に論文投稿申請し，発表の採択を得ている。
また，物品費に関して，本年度は水滴の体積を増減するマイクロポンプを２台購入した。光学系の設備については，前年までに購入したものを活用したため本年度分は申請当初の年度予算をやや上回ったが，前年度繰り越し分で充足できた。
光学系の改良が必要である事が示唆されたため，次年度使用額として利用予定である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
２０１６年度は国際会議をＣＥＩＤＰ（２０１６年１０月カナダにて・ＩＥＥＥ・ＤＥＩＳ主催）に論文投稿申請し，発表の採択を得ている。このため外国旅費でこの次年度使用額を利用予定である。国内会議でも，電気電子絶縁材料システムシンポジウムと全国若手セミナー含めて成果発表の予定である。
物品費について，光学系の改良が必要であり，次年度交付額と合わせて，実験設備を改良するのに用いる予定である。
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| Remarks |
過去の科研費研究成果等を掲載しています。
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