2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420288
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川津 琢也 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主任研究員 (00444076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ドット / ガリウムアンチモン / アルミニウムアンチモン / 高指数面基板 |
Outline of Annual Research Achievements |
10nm級自己形成量子ドットは、温度安定性に優れた半導体レーザーや高感度赤外検出器などへの応用が期待されており、その形状制御は極めて重要である。また、本研究課題の目的の一つである光ガルバノ素子においても、2次元電子に異方性を導入する量子ドットは重要な役割を果たす。 Stranski-Krastanov(SK)モード成長は、広く用いられている量子ドット形成法の一つであり、基板上に格子定数の異なる材料を積層するだけで、転位を伴うことなくドットが自己形成される。この手法では、ドットのサイズや密度は、温度や成長速度などのパラメータの選択により変えられる。また、高指数面基板の使用も、ドット形状制御に有効な手段の一つである。 本研究では、高指数面GaAs基板上に量子ドット(GaSb、AlSbドット)を作製し、基板面方位が量子ドットの密度に与える影響を調べた。基板は(100)、(311)A、(111)Aの3種類を用意し、410~490℃でGaSbまたはAlSbを3.2原子層積層することにより、量子ドットを作製した。その結果、GaAs(311)A基板上にGaSbを積層すと、通常の(100)基板の場合に比べて、約1.8倍の高密度なドット(密度6.9e+10cm-2)が形成されることがわかった。また、(311)A基板にAlSbを積層することにより、さらに高密度なAlSbドット(密度2.9e+11cm-2, 通常の約7倍)の作製に成功した。一方、(111)A基板上では、低密度の量子ドットが形成されることがわかった。特に、高温(490℃)では、非常に低密度なGaSbドット(密度4.1e+9cm-2、通常の1/17)が形成できることを示した。さらに、レート方程式や有限要素法を用いたシュミレーションを行い、実験結果と比較し、量子ドットの形成メカニズムや電子状態、光学的な異方性について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、実験装置の都合により、当初予定していた光ガルバノ測定ではなく、平成27年度に予定していた量子ドットの作製を前倒しして行った。その結果、量子ドットの作製手法の確立と基板面方位依存性のデータが得られ、研究目的の一つである高指数面基板上の量子ドットの形成は達成された。当初の予定とは異なるが、この成果は、"区分(2)おおむね順当に進展している"に相当していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、26年度に予定していた光ガルバノ効果の測定を実施する。n-AlGaAs/GaAsヘテロ接合電界効果トランジスタに、さまざまな条件でレーザーを照射し、その光電流を測定する。試料にバンドギャップ以上のレーザーを照射すると、2次元電子の密度が局所的に増加する。また、金属ゲートに光を照射した場合も、ゲートからチャネルに電子が遷移し、2次元電子密度が増加する。これにより、拡散電流が生じ、系が異方的である場合には光ガルバノ効果が生じる。平成27年度は、n-AlGaAs/GaAsヘテロ接合電界効果トランジスタの異方的な位置にレーザーを照射し、光ガルバノ効果を引き起こすことを試みる。特に、温度やレーザー強度、波長などを変えて、それらが光電流に与える影響を調べる。 さらに、平成27年度は、平成26年度に用意した理論計算用のワークステーションを用いて、有限要素法を用いた理論的なシュミレーションを実施する。計算結果と実験結果を比較することにより、光電流発生メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(5 results)