2015 Fiscal Year Research-status Report
液晶/配向ナノファイバー複合体の構築とテラヘルツ波制御素子の実現
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26420290
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
森武 洋 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 教授 (90531799)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テラヘルツ波制御素子 / ネマティック液晶 / 配向ナノファイバー / 複合体 / 電圧応答特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネマティック液晶/ナノファイバー複合体を作製し、複合体中のナノファイバー密度を変化させたときの複合体の閾値電圧特性と、電圧を除去した際の立下り応答時間特性について評価を行った。閾値電圧については、液晶単体と比べナノファイバーを複合することにより増加し、密度が高いほど閾値電圧も増加することが明らかとなった。しかし、液晶に少量の重合性モノマーを添加し、液晶相において重合することにより電圧を除去した際の立下り時間の改善を図る高分子安定化液晶と比べ、閾値電圧の増加はわずかであり、立下り応答時間を約100分の1に減少させたときでも、閾値電圧は10V以下であり、応用上問題がないことが確認できた。 また、配向ナノファイバーを作製させるためにはドラムコレクターを回転させるため、ナノファイバーの積層量に比べて積層時間が長くなる。この問題を解決するため、ドラムコレクタ上に多数のガラス基板を設置し、配向ナノファイバーをある程度積層させた後シート状になったナノファイバーをガラス基板上から剥がして積層することにより100μm以上といった厚いナノファイバー/液晶複合体も効率良く作製できる手法を確立した。 一方、300GHz帯のテラヘルツ波の透過型のデバイスの実現のため、基板材料としてITOが製膜されたPETフィルムを用いることを検討した。このITO付PETフィルムを基板材料として液晶単体セルを構成し、300GHz帯の透過特性を測定し、ITO付PETフィルムによる損失が一般に使用されるITOガラスと比べ低いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノファイバー材料としてポリビニルアルコール(PVA)以外にポリアクリロニトリル(PAN)を使用し、両者のナノファイバー材料において液晶との相互作用の強さについて検討を行うことができるなど、液晶/ナノファイバー複合体の作製とその特性評価については計画通り順調に進展した。また、テラヘルツ波用基板材料の評価についてもITO付PETフィルムを用いることで研究が実施できることが確認でき、順調であった。しかし、計画では液晶/ナノファイバー複合体によるテラヘルツ波制御素子の作製までを実施する予定であったが、この部分が未実施であったため、その他は予定通り進展しているため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度未実施であったITO付PETフィルムを基板材料とした100μm以上の液晶/ナノファイバー複合体を作製を早期に行い、この複合体を用いて電圧印加によるテラヘルツ波の位相変化を測定することにより移相器としての基本的な特性を評価し、透過型のテラヘルツ波移相器の特性評価を行う。 また、テラヘルツ波の伝搬に適したガイド型の線路を用いた線路型のテラヘルツ波移相器についても、液晶/ナノファイバー複合膜を用いて実現する。更に、これらの移相器内での液晶分子の応答について、液晶の電場応答を計算できるシミュレーターを用いて計算し、複合素子内における電界に対する液晶分子の応答を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度において液晶分子の電界に対する応答を計算できるシミュレータを購入する予定があり、翌年度請求分だけでは不足するため今年度の助成金の使用を抑制し、次年度使用額を生じさせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
液晶分子の電界に対する応答を計算できるシミュレーションを購入するとともに、これまでに得られた成果を積極的に学会等で報告するための、論文投稿料や旅費として使用する予定である。
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