2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on polarizers with high performance in mid-infrared and terahertz regions
Project/Area Number |
26420297
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
白石 和男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90134056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 偏光子 / サブ波長格子 / テラヘルツ / 中赤外 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度である本年度は、これまでの研究で得られた多くのデータの整理と分析を行い、得られた新たな知見を世界的に権威ある欧文誌に発表して本研究の成果を広く知らせることを目標とした。研究は順調に進行し、本年度の目標を達成することができた。中赤外およびテラヘルツ領域の広い範囲で性能の高い偏光特性を有する偏光子構造とそれを構成する最適材料を決定した。いずれの波長・周波数帯においてもAgが有効であることを明らかにした。中赤外用には単結晶シリコンウエハの両面に格子を形成した。裏面には反射低減用のZnS膜を形成した。裏面の表面が格子状のため、反射防止の効果を増強することが確認された。シリコン基板表面に形成した金属(Ag)薄膜とシリコン薄膜の二重格子は、その格子形状から平坦の場合より反射低減効果があり、裏面の格子構造と併せて偏光子の挿入損失低減に役立つことが実証された。波長15~25μmにわたりほぼ平坦な挿入損失特性を得ることができた。最低挿入損失は波長19μmで3.5dBを得た。この値は、従来の偏光子より優れている。一方、消光比(TE損失)は波長16~20μmで27dB以上と、従来の偏光子よりはるかに優れた特性を得ることができた。この値は測定系の測定限界を超えているため、波長18μm以上での消光比はさらに大きいことが予想された。テラヘルツ帯用の金属薄膜材料としてはAuが最も優れていることをこれまでの研究で明らかにしていたが、高コストになる欠点があった。実用性を考慮してより低コスト化が可能なAg薄膜を検討した。本年度は実際に成膜したAg薄膜の光学特性を評価する簡易な式を導き、Ag薄膜が実用上十分な光学特性をもつことを確認した。試作した偏光子の消光比は周波数範囲0.5~2.2THzで45dB以上、挿入損失は0.5~3THzで0.75dB以下であり、非常に高性能な偏光子を得た。
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