2015 Fiscal Year Research-status Report
生産性と光学特性に秀でたチューナブル波長選択フィルタチップの継続開発
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26420298
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
依田 秀彦 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312862)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光波長フィルタ / 光デバイス / 透明ヒータ膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)温度制御(TO)型チューナブルフィルタ(BPF) ■TO-BPFチップをフェルールに集積し,TECファイバと割スリーブを組み合わせて省スペース(2cm長×0.5cm幅)モジュールを試作して良好な結合効率(-1.2dB)を得た.前年度と比べ,大幅な省スペース化,光軸調整フリーに成功した.結合損失の主要因はギャップ(0.6mm)に伴う損失0.8dBであり,BPFチップ基板を薄型化すれば改善可能■TO-BPFチップへの入射ビーム直径を(従来の1mmから)0.03mmに変更した結果,TO-BPFの高温時のスペクトル特性劣化の抑制に成功した■昨年度構築したTO-BPF中心波長温度係数dλ/dT評価測定系の,高温時(130-150℃)におけるdλ/dT測定精度劣化の原因が,装置の振動でなく,空気揺らぎ(陽炎)であることを突き止めた.測定系の一部を改良した:①光路上へのパイプ設置による対流抑制,②ARコート付基板による外部との断熱,③光スペアナ分解能の最適設定.高温時の透過率が(従来の95%減から)80%減になり中心ピーク波長検出時のS/Nが改善した.
(2)電圧制御(EO)型チューナブルフィルタ ■EO-BPF構成要素について引き続き検討した:①PLZT溶液の変更(組成比(9/65/35) 濃度(15wt%)),②PLZT薄膜の形成手順見直しと熱処理条件再検討,③透明電極膜の透明かつ低抵抗率となる最適な成膜条件出し■サファイア基板上にITiO(411)面,PLZT(110)面の結晶薄膜が形成できることを実証した■ITiO膜の光吸収率を低減し(0.3%)かつ体積抵抗率34×10^-3Ωcmを得た■PVAを導入しゾルゲルPLZTのパターン形成を実証した■1キャビティ型EO-BPFを試作した.BPF中心波長が設計から大きくずれ,PLZTとITiOの膜厚制御の重要性が判明し今後改善を図る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)温度制御型フィルタに関して:特性はまだ目標に達していないものの,作製や実験を着実に進めて成果を積み重ねることができている(省スペース化,高温時の損失低減への見込,dλ/dTの高精度評価への見込)。一方,時間不足で取り組めなかった課題(半自動化とマルチキャビティTO-BPFの作製,光学モニタ系の安定性と再現性の向上)もある。達成度は75%程度である。
(2)電圧制御型フィルタに関して:EOフィルタの作製要素技術の実験的再検討を行い,作製ノウハウを一歩ずつ積み重ねて,EOフィルタのプロトタイプ第2弾の試作まで到達したが,電気的および光学的評価には至らなかった.また進展しなかった課題(電気光学効果の評価,dλ/dVの測定)もある。達成度は60%程度である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)温度制御型チューナブルフィルタ ●最大温度変化300℃を低減するため,中心波長の異なる複数TO-BPFの並列化を検討する.●VB制御プログラムを改良し,成膜シーケンスと膜厚制御判断を半自動化することで,2~3キャビティ多層膜フィルタを半自動で試作する.●諸問題の解決(光学モニタ系の安定性/再現性,SiNの高速成膜条件出し,フェルール集積したTO-BPFチップの省消費電力化,透明ヒータ膜の高温時破壊抑制,dλ/dTの高精度評価の確認)を進める.
(2)電圧制御型チューナブルフィルタ ●PLZT試料の強誘電性特性およびdn/dVを評価する.実験系の立ち上げ,または外部に測定依頼する.●諸問題(PLZT膜厚制御,PLZT厚膜形成と膜剥がれ防止,多層膜ミラー層の高速成膜,PVAによるパターニング活用,ITiOの抵抗率低減,ITiOとPLZTの結晶性向上)を解決し,EO-BPFの作製プロセスを確立する.●大きなdλ/dVが得られる可能性をもつ液晶をEO-BPFに導入できないか理論的/実験的検討を行う.
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Causes of Carryover |
2月上旬にTO-BPF成膜に必須の真空計が故障したが,2-3月に学会発表に向けた実験を行う必要があり,次年度になってから修理を予定したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(前年度終わり故障した)バラトロン真空計の修理を行う.
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Research Products
(5 results)