2014 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブルグリッド用高精度波長安定化半導体レーザ光源の研究
Project/Area Number |
26420308
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10563827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 波長可変レーザ / マイクロ波フォトニクス / 波長安定化 / フレキシブルグリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、フレキシブルグリッドから半周期ずらした基準光群と被測定光との差周波を波長誤差検出信号として検出することで高精度にレーザの波長を安定化する動作原理の確認実験、および光周波数制御のための波長可変レーザの波長変化メカニズムの解析と制御に用いる高速電流駆動回路の設計・製作を行った。 高精度にレーザの波長を安定化する動作原理の確認では、電気フィルタが高い分解能を持つことに着目し基準光群との差周波を用いた光周波数のビート信号を検出する方法を検討した。被測定光がフレキシブルグリッドからΔfずれている場合、被測定光と基準光群の差周波3.125±Δfがフォトダイオード(PD)によりビート周波数として検出される。これを中心周波数3.125GHzのバンドパスフィルタ(BPF)に透過させることで、周波数のずれ量を透過電力として測定した。スペクトルアナライザで検出したビート信号のスペクトルでは、光周波数が目標波長からΔfずれた場合、周波数3.125GHzから±Δfずれた箇所に2つのピークが見られる一方、目標波長と一致した場合には3.125GHz付近に単一のピークが生じている。次にこれらの信号を中心周波数3.125GHz、バンド幅0.1GHzのBPFに通した後に透過電力を検出した。その結果、Δfが減少するに伴い透過電圧が下がることが確認され、本手法により波長ずれを±0.1GHz以下の精度で観測できることが確認された。 波長可変レーザの波長変化メカニズムの解析と制御に用いる高速電流駆動回路の設計・製作では、求めたレーザの伝達関数をもとに導き出した制御電圧波形を用いて高速電流駆動回路でレーザを駆動し、50ns以下で波長を変化できることを実験により確認した。 今後、フィルタ透過後の電力が最小となるようにレーザの光周波数を制御する制御系を実現し、波長安定化実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた最大の課題である高精度光波長検出に成功し、すでに国際会議2件、国内学会1件を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に導出した各時間領域における波長変化の伝達関数をプログラム化し、5ns周期で信号入出力可能な高速デジタル回路に実装する。なおこの高速デジタル回路技術は研究活動スタート支援(H24~25)の成果として確立済である。さらに初年度に製作した高速電流駆動回路を接続し、切替直後(50ns~100ns)中期(100ns~10μs)および長期(10μs以上)のすべての時間領域で任意の電流形状を5nsの時間分解能で生成する制御回路を実現する。 確立した技術を統合した半導体レーザ光源を構築する。制御系では、切替直後(50ns~100ns)に回路応答を加速するプレエンファシス制御、中期(100ns~10μs)に熱平衡状態を加速するフィードフォワード制御、および長期(10μs以上)には高精度検出した波長誤差を修正するフィードバック制御をデジタル回路で時系列に切り替える。実験により50ns以内に精度±0.1GHzの波長安定化を実現する。さらに理論値との相違の 解析から、さらなる高性能化の方策、本手法の理論限界値を明らかにし、将来の光通信方式研究の方向性策定に寄与する。
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Causes of Carryover |
回路に必要な電子部品の納期が年度内に間に合わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月中に納品するようすでに手配している。
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