2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of magnetization reversal of Nd-Fe-B magnets by dynamic domain observation with a Kerr microscope
Project/Area Number |
26420311
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹澤 昌晃 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (20312671)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁区観察 / 磁区構造 / 磁気Kerr効果 / ハード磁性材料 / ネオジム磁石 / 減磁過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度までの知見を活かして磁区観察の観察視野を広げることで、ネオジム磁石の磁化反転機構についてより統計的に考察することを試みた。 このため、結晶配向度が比較的悪いネオジム磁石において、磁化反転が止まる結晶粒界と止まらない結晶粒界の頻度について、その結晶粒間の方位ずれとの関係を統計的に整理した。調べた結晶粒界は合計で約1000箇所である。その結果、結晶粒間の方位ずれが大きくなるのに伴って、磁化反転が止まる粒界の割合が増加することが分かった。さらに、この傾向はネオジム磁石のDy組成にかかわらず表われることが分かり、結晶配向の中でも結晶粒間の配向ずれがネオジム磁石の磁化反転、すなわち保磁力を決める要因の一つであることを明らかにできた。配向度が悪いネオジム磁石で保磁力が増大する現象自体はすでに既知であったが、この研究によりその原理を明らかにすることができた。すなわち粒間での配向ずれを意図的に制御する磁石の生産方法が確立できれば、重希土類フリーで高保磁力・高耐熱を実現できる可能性があり、ネオジム磁石の重要な設計指針の一つを明らかにできた。 また、磁化反転する結晶粒集団の大きさと保磁力の関係について、約100μmの大きさのネオジム磁石の磁粉を単独で磁区観察することで、その結晶粒集団の大きさについて統計的に考察した。その結果、磁化反転する結晶粒集団の大きさが大きく、かつその大きさのばらつきが大きい磁粉で、保磁力の低下および減磁曲線の角形性の低下が見られることが分かった。実際の磁石材料はこれら磁粉の集合体であり、このような磁化反転する結晶粒集団の肥大化や分散の増大が磁石材料の保磁力やエネルギー積の低下と強く相関していることを明らかにできた。この結果から、結晶粒界組織の均一化がネオジム磁石の保磁力、エネルギー積増大のための設計指針であることを明らかにした。
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