2015 Fiscal Year Research-status Report
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26420316
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 壮一 千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (80326595)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黒色ガラス / VAD法 / 遮光膜 / OVD法 / クロストーク / マルチコア / 酸化ビスマス / 液浸法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は金属被膜を有する光ファイバの遮光性に着目し、その効果を有する耐高温なガラス材料開発をすることにより金属被膜工程を省略すること、およびマルチコア用高密度コア技術のためコア同士のクロストークの低減化を目的にしている。以上の目的のため本研究では今までにない過度なBi元素の添加を試みVAD法により高温にて黒いガラスの生成を得ている。27年度は① VAD法によるSiO2-GeO2-Al2O3-Bi2O3 黒色ガラス組成で最適条件が得られないときのために新元素酸化物を既酸化物と置換する、あるいは加算することで性能向上を狙い、機械的、化学的、光学的基本特性を明確にし、遮光用光ファイバ実現のための設計指針を得ることを課題としたが幸いにして4元素参加物により黒ガラスの生成に成功したため、あえて新たな元素添加は行わなかった。②本研究では VAD 法によりSiO2-GeO2 スートを先に生成し、仮焼結後、Al2O3-Bi2O3 溶液を液浸する方法を主体的に進めるが、既存のSiO2-GeO2 ガラスロッドを準備しその外側にOVD 法(外付け法)の様にSiO2-GeO2 スートを生成し、仮焼結後、Al2O3-Bi2O3 溶液を液浸する方法も検討した。しかし本期間内では2段階法を行う時間とリソースが十分ではなかったため、Bi酸化物の成分と透過率の関係について主に実験を行い今後に結びつく成果を上げた。本期間では黒ガラスの添加量と光透過特性の相関を明らかにし、光ファイバ構造の形成まで実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黒色ガラス被膜石英系光ファイバの漏れ光の削減やマルチコア構造を意識した隣接コア同士のクロストーク低減用光ファイバの実現が本研究の目的である。その手段として本研究では他の方法では得られない過度のBi酸化物添加法としてVAD法を採用しSiO2-GeO2ガラスとその周りのAl2O3-B2O3ガラスの生成に挑戦し、90%成功した。27年度は① VAD法によるSiO2-GeO2-Al2O3-Bi2O3 黒色ガラス組成で最適条件が得られないときのために新元素酸化物を既酸化物と置換する設計指針を得ることを課題としたが幸いにして4元素酸化物により黒色ガラスの作製に成功したため、各元素の成分調整により透過強度の検討を進め黒ガラス作製技術の検討は90%成功した。②本研究では VAD 法によりSiO2-GeO2 スートを先に生成し、仮焼結後、Al2O3-Bi2O3 溶液を液浸する方法を主体的に進めるが、既存のSiO2-GeO2 ガラスロッドを準備しその外側にOVD 法(外付け法)の様にSiO2-GeO2 スートを生成し、仮焼結後、Al2O3-Bi2O3 溶液を液浸する方法も検討したがガラス化工程でスートが剥離し、簡単に外付け遮光製膜形成は実現できなかった。しかし、当初の計画通りSiO2-GeO2 ガラススートに外から液浸法でBi,Alの酸化物を添加する方法に成功し、Bi2O3成分の増加量と透過率に相関がみられたため本方法で進めることにした。③27年度では試料作製を数種類試み、EDXによる成分分析と1.3μm、1.55μmのレーザ透過特性が得られた為、次年度で作製予定の遮光性光ファイバの作製基盤技術が80%確立した。具体的にはBi2O3成分添加量を5.5wt%まで添加してもガラス化に成功し黒ガラスを形成することでき、1.3μm、1.55μmにおける透過率が20dB/mm以下となり遮光性が大いに得られ、短尺であるが光ファイバ形状に線引くことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度、27年度で遮光性ガラス、光ファイバが得られた為、遮光膜付き光ファイバの再現性の向上と損失特性の明確化、マルチコア用低クロストーク用光ファイバの作製を本年度の目標とし、実用化への基本的問題点を明確にする。具体的にはSiO2-GeO2 スートを生成し、仮焼結後、Al2O3-Bi2O3 溶液を液浸する方法を基本形とする。次にAl2O3-Bi2O3 溶液成分の調整を行い、光の透過率をBi2O3添加量でどこまで制御可能であるか検討する。次に母材から光ファイバに線引く場合に遮光膜がどのように延伸されるのか、その厚さの変化と透過率の減少について解析と実験から明らかにする。27年度で得られた知見としてBi2O3ガラスのガラス化の際、融点、沸点がSiO2に比較してかなり低いので表面では黒ガラスが観察されず表面から15%内側に遮光膜が形成されることが観測された。従ってガラス化温度と外側の透明層とBi2O3遮光膜製造条件の関係について改めて検討を行い、Bi2O3膜の遮光性について明らかにする。現在までのところ機械強度的には従来の石英系光ファイバとの差異は認められないが実際に従来の光ファイバとの融着接続に成功するかは非常に重要であるため融着条件も含め検討を進める。28年度の計画と方策としては最適化された組成の黒色ガラス被膜光ファイバを線引きした後、それらを束ねて更に線引きするバンドル光ファイバ(黒色バンドル光ファイバ)試料を準備し、黒色バンドル光ファイバの光学的、機械的、化学的特性を明らかにする。光学的には特に隣接光ファイバ同士のクロストークスペクトル特性について明確にする。
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Causes of Carryover |
最適化された組成の黒色ガラス被膜光ファイバを線引きした後、それらを束ねて更に線引きするバンドル光ファイバ(黒色バンドル光ファイバ)試料を準備するため、光ファイバ準備に経費が発生し、本プロジェクトを成功するためにも良質の遮光膜、遮光膜付き光ファイバの実現が望まれる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①Bi2O3酸化物の適切添加量と遮光特性により、遮光膜付き光ファイバを作製し、伝搬特性を基本とした光学特性、融着特性を基本とした機械特性を検討し、従来の光ファイバとの比較検討を行い、従来光ファイバとの整合をとるための施策を明確にする。②遮光性被膜を有する光ファイバをバンドル化し、マルチコアファイバを試作しお互いのクロストーク特性について明確にする。また画像伝送用光ファイバとしての立場から、従来の画像用バンドルファイバと比較して画像鮮明度、コントラスト等を評価する。
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